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 商品の種類が多様化し、消費者はたくさんの商品の中から自分が本当に気に入った物だけを選択して購入する時代となっている。必要な物、欲しい物、好きな物を選択することに慣れた消費者は、情報に関しても自分の嗜好や必要性に応じて「選択」することを望んでいる。その点、テレビCMは視聴者が自発的に触れる情報ではないので、視聴者に「欲しい→見たい」、「好き→面白い」と感じてもらい、「選択」されるものでなければ誰にも見てもられず、効果も期待できない。


 AAF(アメリカ広告機構)が広告関係者168人を対象に行った調査(2006年11月発表)によれば、回答者の76%以上が2010年までにテレビ広告の予算のうち少なくとも10%はオンライン広告に流れると見ており、さらに約43%の人は20%以上がオンライン広告に流れると予測した。また、最近では多くのメディアでオフライン広告の終焉が取りざたされ、オンライン広告の優位性がうたわれている。

 ちなみに、オンライン広告には、テキスト型やバナー型など様々な種類があるが、最近注目を浴びているのが動画広告だ。動画広告にはストリーム内広告やバナー内広告などがあり、バナー内広告にはネットユーザーがページにアクセスすると再生が始まるホスト主導型の広告もあれば、ユーザーが静止した広告の上にカーソルを動かすか広告をクリックすると再生が始まる視聴者主導型の広告などがある。

 インターネットの動画閲覧者数が増加傾向にあるなか、企業のオンライン動画広告費は増加の見込みが立てられている。2006年10月に発表されたeMarketerの見通しによると、米国のオンライン動画広告費は2006年に4億1,000万ドル、2008年には13億ドル、2010年には2006年の約7倍となる29億ドルに達する見込みであるという。

 なお、オンライン動画広告の注目度が高まった要因のひとつとして、ビデオ共有サービスのYouTubeが、2006年8月22日に動画広告プログラムを正式に開始したことが挙げられる。YouTubeの広告プログラムはParticipatory Video Ad(PVA)と呼ばれており、トップページ右上などに専用スペースが設けられ、他の動画よりも利用者の目に留まりやすくなっている。インターネット調査会社・ネットレイティングスの発表によると、9月のYouTube利用者数が米国で約2,000万人、日本では約700万人となっているが、その効果はどれほどのものなのか。

 YouTubeの発表によれば、米国のテレビ局であるCBSと提携し、YouTube内で番組コンテンツを合法的に視聴できるようにした10月18日以降、公開されたCBSの番組コンテンツが、YouTube全体のなかで最も高い人気を誇るコンテンツになっているという。また、いくつかの番組についてはテレビでの視聴率も向上しているとのことだ。番組コンテンツをYouTubeで公開することによりテレビ視聴率が下がるのではないかという見解もあったが、意外にもテレビとの相乗効果が期待できるようだ。

 また、PVAは視聴者が見ることを自ら「選択」する広告であるということもポイントだ。YouTubeでは、広告主が提供するビデオも利用者による評価の対象になる。広告主も他のYouTubeへ動画を提供する一般利用者と同様に、面白い動画や情報を提供し、コミュニティの中で評価を上げなければ数多くの動画の中に埋もれてしまう。つまり、広告主は視聴者が「見たい」「面白い」と受け止めるコンテンツを作成し、視聴者に「選択」される努力をしなくてはならないのだ。

 しかし、視聴者に受け入れられた時の広告効果は、マス広告では比べ物にならない程高いと思われる。ビデオと音でストーリーを表現できる動画広告は、文字や静止画像のみから受ける情報よりも、人の記憶に残りやすいことはもちろん、高級感、高品質、高性能、好条件、新しさなどのイメージ向上やブランディングの効果が期待できると考えられるからだ。

 YouTubeは、求めるものがそれぞれ異なる多くのサイト訪問者に対して広告を提供することができるが、顧客となり得る特定のユーザーが集まるサイト、掲載させる広告の内容と関連性の高いサイトへ広告を表示させたい場合には、より最適な広告もある。それがグーグル「アドワーズ広告」のClick-to-Play広告だ。

 Click-to-Play広告は、グーグルが提供する広告フォーマットに、音と映像によるインパクトを追加した動画広告である。最初は静止画で表示され、ユーザーが画像あるいは再生ボタンをクリックすると動画がスタートする。広告主は、コンテンツテーゲットとサイトターゲットのどちらで動画広告を配信させるか選択することができる(※)。

 広告を掲載させたい商品・サービス・ブランドの潜在顧客に対する効果的なアピールが可能であることが、Click-to-Play広告のメリットと言える。また、動画再生後に画面に表示されるURLがクリックされれば、広告主のサイトが表示される。これによって、ユーザーに詳細情報を提供することができ、そのまま購買行動につなげることも可能だ。

 なお、YouTubeの動画広告は動画を求めている視聴者に対する広告であるが、一方のClick-to-Play広告は動画を見ることが目的ではないユーザーに対する広告であるという点が特徴として挙げられる。

 まずユーザーに再生をクリックしてもらう必要があるので、最初に表示させる静止画面をユーザーがクリックしたくなる表現にする必要がある。また動画再生後に、URLをクリックしてもらうための工夫も必要だ。動画の続きが気になりURLをクリックしたくなるような演出をすればユーザーの確度を高めることができるだろう。

 この広告に適している業界としては、BtoCビジネス(個人顧客相手のビジネス)で商品が高額なジュエリーや自動車など、またレジャー施設や旅行会社など、季節やイベント、キャンペーンといった期間限定の広告を掲載させたい企業、またブランディングが目的で広告を打ち出したい企業などが考えられる。

 Click-to-Play広告は、グーグル「アドワーズ広告」を利用している企業が動画を用意すれば、少ない初期費用ですぐに開始することが可能であり、非常に広告効果の高い動画広告のひとつだと言える。しかし、広告掲載すれば、どの企業のどのような場合でも同じ効果を発揮するというわけではない。広告主が伝えたいことのみを掲載する広告ではなく、ユーザーが「見たい」「面白い」と感じ、「選択」する広告を作る必要性が今後ますます高まっていくだろう。


※ コンテンツターゲットの場合、グーグルが選定してくれるサイトへ自動配信され、ユーザーが動画をスタートさせ、映像が終了した後に表示されるURL、または動画上と下部に表示されるURLをクリックするごとに課金される。またサイトターゲットの場合は、自分が配信させるサイトを選定することができ、広告が表示されるごとに課金される。

(執筆:R&Dグループ 都丸恵)






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