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 市場において競合商品が存在する場合、消費者に対して自社商品の強い競合優位性を訴える必要があることはすでにご存知のことだろう。この考えは、もちろんWebマーケティングにおいても何ら変わることはない。

 そして、もう少し突っ込んで言うなら機能面や品質で差別化できないようなコモディティ化(日用品化)した商品である場合、基本的に価格かブランド力のみでしか競合優位性を発揮できる点は存在しない。そうした商品の代表的な例としては、100円ショップで販売しているような日用品などが挙げられるだろう。また、最近ではパソコンや薄型テレビなども販売価格の下落が顕著であり、メーカー各社の機能面の優位性が薄れつつあることから、コモディティ化しつつあると言われているようだ。

 では、ここで質問。もしあなたが企業のマーケターだとしたら、自社商品を消費者にアピールする手段として、価格勝負とブランド勝負どちらかひとつを選べと言われたら、いったいどちらの勝負を選択するのだろう。

 おそらくここでは、多くの人がブランド勝負を選択するのではないだろうか。なぜなら、価格勝負を選んだ場合、そこで獲得できる消費者は「どれが安いか」という選択肢を重視している消費者でしかない。そのため、その消費者をつなぎ止めておくためには、競合との際限のない値下げ合戦に勝利し続ける必要があり、結局は持久力勝負の消耗戦に勝ち残るしかなくなるからだ。

 一方、ブランド勝負でリードできれば、消費者を奪い取ろうとする競合に対して、たやすく越えられない大きな優位性を築くことができる。しかし、ブランド勝負でなら企業は楽ができるのかというと、決してそういう訳でもない。まずはブランドとは何なのかをきちんと理解しておく必要がある。

 ブランドとは、もちろん単なる企業名や商品名のことでもなければ、ヴィジュアル・アイデンティティと言われるロゴのことでもない。ブランドとは、消費者一人ひとりの頭の中にあるイメージだというのがもっとも適切な答えだろう。

 例えば、A社という社名を聞いて消費者がイメージするものこそ、A社のブランドそのものである。つまり、もしA社が消費者に知られていなければ、ブランドというものは存在しないも同然であり、A社が多くの人から「信頼できる」というイメージを抱いてもらえたなら、「A社=信頼できる企業」というブランドが確立する。

 これは何も企業の話だけではない。人間誰しも、他人から「頭がいい」と思われたいとか、「カッコいい」と言われたいという願望があり、そのために少なからず努力をしているのではないだろうか。それこそが企業のブランド戦略に通じる考え方だ。

 しかし、そこで重要になるのが、ブランドを確立するには企業の一貫性をもった取り組みが必要になるという点だ。会社ではスマートにスーツを着こなしている男性が、休みの日にたまたま街で出会ったら、センスのかけらも感じられない酷い私服を着ていて幻滅したという話は女性からよく聞く話だ。これと同じように、企業のブランドというものも確立するには長い月日がかかるが、そのブランドイメージを裏切るようなたった1度の失敗が致命的なブランドの失墜を招くことがある。

 そこで、私が最近とくに注目しているのが企業のリアルマーケティングとWebマーケティングにおけるブランド戦略の一貫性だ。もしマス広告のコンセプトとネット広告のコンセプトがまるで違っていたら、消費者はいったいどう思うだろう。それこそ接する相手や場所ごとに意見を変える人間が信用されないのと同じように、会社の姿勢に一貫性がないと判断され、ブランドイメージは決して良くはならないのではないだろうか。

 しかし、まだまだ国内の企業においては、ネットとリアルのマーケティングが切り離されて考えられている傾向も強いように感じられる。実際、検索結果に表示されるタイトル・説明文の訴求内容、Webサイト内の文言、デザインコンセプトなどを見ても、必ずしも国内で名の知られたすべての企業が完全にリアルのブランド戦略と歩調を合わせているとは言い難い。特に、日本の企業はそもそも企業意識の低さや人材不足などによって、マーケティング全体を統括・俯瞰する人間の不在が叫ばれているから、こうした事態は深刻な場合もある。

 もし「高級感」を打ち出してきたブランドが検索結果に表示されるタイトル・説明文で「激安」や「セール」などという訴求をしていたら、それだけで長い月日をかけて築き上げてきたブランドが破壊されかねない。また、ランディングページが派手な色遣いや安っぽい作りのサイトであったら、それこそ致命傷だ。

 もちろん、ここまで酷い例はそうそう無いが、価格勝負ではなくブランド勝負で消費者を獲得したいとお考えなら、このような失敗をしていないか、一度総点検してみることをおすすめしたい。Webの影響力が高まっている昨今、それが今後はブランドを作り、ブランドを守るためには欠かせない作業になると考えられるからだ。

(執筆:R&Dグループ 市川伸一)






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