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十四、ままらなぬ 品質管理 専務では

 品質問題を起こしたある会社が「品質管理担当の専務を任命した」という新聞記事が出ていました。そのことで、株主に安心してもらおうという、広報活動の一つでしょう。しかし専務を置いたからといって、品質管理の特効薬になるわけではありません。品質を保証するためには、組織、体制、運営の三拍子を揃えることが必要なのです。これを職制だけで解決することはできません。
 品質マネジメントシステムの世界でよく言われる言葉を借りれば「品質管理の最高責任者は社長」なのです。品質管理担当の専務をたとえ専任で置いても、組織、体制、運営が専務の意のままになるのかどうか、疑問です。かえって「ままならぬ」事態を招くのではないかと予想されます。
 品質管理を理想的なものに近づけるには、サプライヤー、関連子会社、ビジネスパートナーを巻き込んで、製品の製造プロセス全体を最適化する視点で見直すとともに、製造前の設計プロセスの検証、顧客の声に関する情報管理の徹底など、組織、体制、運営を包含した統合的な立て直し計画が不可欠です。専務の任命ではなく、社長が統合的立て直しに取り組むと宣言することを社会は求めているのではないのでしょうか。


(文・森岡 謙仁=経営・情報システムアドバイザー、
アーステミア有限会社代表取締役社長)