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二十七、熟練者 自動設計の 不備見抜く

 最近の傾向として、コンピュータを過度に使っていませんか。元々、データの統計処理から発達したコンピュータではありますが、取り扱う「数値」には、それ以上の意味があることも事実です。
 例えば、機械や部品の品質情報をあげると、一つの数字ではあっても、複雑かつ多様な関数の要素という意味を持っています。部品の配置、そこに掛かる縦横からの圧力、振動による影響、急激な加重やねじれからの影響等々。品質情報は、通常の統計処理に求められる精度に比べて数桁違う計算を繰り返す必要があります。特に、新しい製品や部品であれば、これまでのデータでは、シュミレーション(予測と試行)できません。
 ある自動車会社のリコール増の原因分析として、「大規模なコストダウン、開発現場の負荷増大、デジタルシュミレーションの活用による試作・テストの縮小などが品質問題につながった可能性がある」という指摘が週刊東洋経済の2006年7月29日号に出ていました。 
 設計の熟練者であれば予測し、気付いた問題を、CAD(コンピュータ支援による設計)による自動化が進んだ今、かえってつかみにくいというのです。コンピュータは優れた道具ですが、その限界を忘れてはいけません。


(文・森岡 謙仁=経営・情報システムアドバイザー、
アーステミア有限会社代表取締役社長)