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セールスフォース・ドットコムの「Apex」は、ASP事業に必要なプラットフォームや開発環境などを総称したサービス群。ソリューションプロバイダが低リスクでASP事業に参入できるように支援する。

 セールスフォース・ドットコムの事業展開が大きく変わりつつある。榎隆司執行役員テクノロジー&アライアンスは、「事業の中核を、現在のアプリケーション分野からプラットフォーム分野へ新たにシフトさせている」と説明する。この事業転換を支えるサービス群が「Apex」だ。

 これまでセールスフォースは、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)アプリケーション「Salesforce」をASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスで販売してきた。Apexは、アプリケーションの基盤となる「Salesforceプラットフォーム」を中心に、さまざまなサービスを提供する。アプリケーションの開発はソリューションプロバイダに任せる(図1)。

図1●プラットフォームだけでなくサービス全体を「Apex」と総称
図1●プラットフォームだけでなくサービス全体を「Apex」と総称
アプリケーションの動作環境はすべてセールスフォース・ドットコムが用意
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リスクを負わずにASPに参入

 セールスフォースがApexを推進する狙いは、Salesforceプラットフォームで提供できるアプリケーションの品ぞろえの強化にある。Salesforceプラットフォームやサービスを外部に開放すればソリューションプロバイダが参画しやすく、アプリケーションの開発を促せるからだ。

 セールスフォースがApexに注力することは、ソリューションプロバイダにも大きなメリットをもたらす。自社でASPサービスを提供するには、サーバーやアプリケーションの導入、運用にばく大な投資がかかる。それがApexに参画することで、リスクを負うことなくASP事業を展開できる。

 Salesforceプラットフォームは、OSやデータベース、セキュリティ関連の機能に加え、サーバーなどハード部分で構成している。これらすべてのリソースと保守・運用は、セールスフォースが一手に引き受ける。ソリューションプロバイダは、サーバーなどの資産を一切持つ必要がない。

プラットフォームだけの販売も

 セールスフォースは、ソリューションプロバイダが開発したアプリケーションを公開するサイト「AppExchange」を用意。既に81個を公開している。

 例えばフィードパス(東京都渋谷区、津幡靖久社長)の「feedpath Zebra for AppExchange」を使うと、同社のWebメールサービス「feedpath Zebra」で受け取った顧客からの電子メールを、簡単なマウス操作だけでSalesforceの顧客データベースに自動登録できる(図2)。コクヨの「@Tovas for AppExchange」は、コクヨのファイル共有サービス「@Tovas」と連携して、Salesforceの画面からFAXや文書ファイルを送信できるようにする。

図2●フィードパスのWebメールサービス「feedpath Zebra for AppExchange」はWebサービスでSalesforceと連携する
図2●フィードパスのWebメールサービス「feedpath Zebra for AppExchange」はWebサービスでSalesforceと連携する
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 現在はSalesforceと連携するアプリケーションが中心だが、今後はSalesforceとは独立したアプリケーションの開発を支援する。そのための仕掛けが、4月24日に発表したSalesforceプラットフォームだけを提供するASPサービス「Salesforce Platform Edition」(SPE)である。

 SPEには、ソリューションプロバイダにOEMで販売するライセンスを用意。ソリューションプロバイダが自社開発したアプリケーションをSPE上に載せてユーザー企業にサービスできる。

 このほかにもセールスフォースは、ソリューションプロバイダが参入しやすい体制作りを進めている。具体的には、ASPの月額利用料などを徴収するためのサイト「AppStore」や中小のソリューションプロバイダを支援する「インキュベーションセンター」を今秋に設ける。決済システムを持たない中小のソリューションプロバイダにとって、ASP事業参入のハードルが一段と低くなりそうだ。