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 日本企業からシステム開発を請け負う中国やインドのITベンダーで、日本企業との橋渡し役(ブリッジ)を務めるシステム・エンジニア(SE)のこと。一般に日本語が堪能な上級SEが担当する。実際に開発が始まると、プロジェクト・マネジャが兼務するケースも多い。

 オフショア開発における、ブリッジSEの仕事は、以下のような流れになる。まず、日本に出張して、発注元の日本企業の担当者と打ち合わせをする。要件定義書や基本設計書といったドキュメントのうち、記述があいまいな部分を確認したり、ドキュメントに記載されていない設計思想を聞き出す。発注元特有の思考方法や意思決定プロセス、プロジェクト推進手法なども探る。
 こうしてつかんだ情報を、帰国後、自社の開発メンバーに説明する。ドキュメントでは省略されがちな日本企業の要求品質や詳細機能についても詳しく解説。日本をあまり知らないエンジニアでも、システムの仕様を理解できるよう努める。
 プロジェクトの途中で疑問点が生じれば、すぐ日本企業の担当者に連絡して確認する。日本から仕様変更が伝えられたときは、内容をプロジェクト・メンバーに伝達する。詳細設計書やソース・コードなどの成果物が完成したら、それを日本企業に持参し、レビューを受ける。

 ブジッジSEの人月単価はおおむね80万円以上。日本語を話さない一般のSEの2倍に達するが、その能力はオフショア開発プロジェクトの成否を大きく左右する。
 まず日本企業との意思疎通には、高度な日本語能力が必須だ。このためブリッジSEの中には、日本国際教育支援協会が実施する外国人向けの語学検定「日本語能力試験」で、最高レベルの「1級」を取得している人もいる。1級は「2000語程度の漢字と1万語程度の語彙を習得し、社会生活上で必要な日本語能力を備えたレベル」とされている。
 さらに日本の文化や商習慣、日本企業のシステム開発の流儀に対する理解も求められる。このため「ブリッジSEは、最低でも1年程度は、日本でエンジニアとして働いた経験があるのが望ましい」とされる。
 こうした日本語関連のスキルに加えて、開発メンバーをまとめ上げる統率力、メンバーから尊敬されるだけの技術力も必要だ。要求されるスキルの種類が多くレベルも高いだけに、1人前のブリッジSEを育成するには、一般に5年以上かかる。

 ブリッジSEがいくら優秀でも、他のプロジェクト・メンバーに日本側の真意が伝わらないことはある。こうした事態を避けるには、日本企業の担当者が、中国やインドのベンダーに直接出向くとよい。日本語がわかるSEの通訳を介してでも、日本人がプロジェクト・メンバーに直接説明したほうが、ブリッジSEを通すよりコミュニケーション・ロスは減る。ただし、この場合は日本人がブリッジSE役を務めることになるので、コストはかさむ。