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 解決すべき案件や課題のこと。主に、システム運用業務や、コールセンターやヘルプデスクにおけるサポート・サービス業務で利用される。「incident」本来の意味は、出来事、偶発的な事件のことである。
 システム運用におけるインシデントには、「システムが利用できない」、「プリンタで印刷できない」、「アプリケーションのバグが見つかった」といった事象がある。システム運用監視ツールが発するアラート(警告)も、インシデントだ。
 一方、コールセンターやヘルプデスクといったサポート・サービス業務では、「製品に不具合が出たので直したい」、「業務に必要なデータを書類にまとめてほしい」、「パスワードを忘れたので再発行してほしい」など社内スタッフや顧客が抱える課題、質問、要望の一つひとつがインシデントに相当する。

 ベンダーが自社の製品やサービスの顧客に対して提供するサポート・サービスにおいては、インシデントはサービスの課金単位として利用されている。そこでは、顧客から受け付けた課題や質問に対し、その課題が解決するか質問に回答し終えるまでの一連のサービスを、一つのインシデントとして数える。
 サポート・サービスやシステム運用管理といった業務で、インシデントが注目されるのは、システムの利用者が抱える課題や不具合を管理するとともに、それをより迅速に解決するための改善ポイントを探り出すための基準が必要だからだ。インシデントを単位にすれば、応対時間を測ったり、応対に必要な手順を調べたりすることが可能になる。応答時間の短縮や、手順のムダを省くことを目標にすることで、目に見えず評価が難しいサービスの品質向上を図る。

 英国商務局がまとめた運用管理のベスト・プラクティス集の「ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)」では、インシデントを検知してから解決するまでの一連の流れを、インシデント管理プロセスと呼ぶ。そこでも、システム運用の課題解決や、サポート・サービスで受け付けた顧客の問い合わせへの回答の速度を高めるのことが目標だ。
 ITILのインシデント管理プロセスには、(1)インシデントを受け付けたらできるだけすぐに対策を講じる、(2)すべてのインシデントについて内容や講じた対策、結果などの情報を管理して、同様のインシデントを受け付けるときに備える、という二つの特徴がある。
 そのITILの定義によればインシデントは、「システムの運用を通して提供されるサービスが中断する」、「サービスの品質を低下させる」、「サービス品質が低下する可能性がある」といった出来事になる。そのため、システム利用者には影響がなくても、サービス品質を落とすような問題もインシデントとして扱う。具体的には、「ディスクの使用率があらかじめ決めたしきい値を上回る」などだ。