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 SIPサーバーでどんなにバックアップ対策をとっても,IP電話機がSIPサーバーと通信できなくなっては意味がない。WANの障害などで拠点からSIPサーバーにアクセスできなくなれば,その拠点内のIP電話機やVoIPゲートウエイは使えなくなってしまう。

 この場合の根本的な対策は,ネットワークを冗長化すること(図3-1の左下)。サーバーを収容するスイッチを2台置いたり,2種類のWANを用意して障害時に切り替えるといった手法だ。

図3-1●SIPサーバーやVoIPゲートウエイの信頼性を確保する設計
図3-1●SIPサーバーやVoIPゲートウエイの信頼性を確保する設計
まず容量を確保。次に冗長化を検討する。
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 しかし,ネットワークの冗長化には多大な費用がかかる。ここでは,コストを抑えた対策について紹介しよう。

バックアップ用のSIPサーバーを設置

 SIPサーバーにアクセスできない孤立した拠点で通話を確保する対策は三つある。(1)拠点ごとにバックアップ用のSIPサーバーを設置する方法(図3-2の対策1),(2)バックアップ機能付きVoIPゲートウエイを使う方法(同2),(3)従来の電話機を残しておく方法(同3)──だ。順番に見ていこう。

図3-2●SIPサーバーやVoIPゲートウエイの信頼性を確保する設計
図3-2●孤立した拠点で拠点内と外線の通話を止めないための対策
バックアップ用のサーバーを置くか,バックアップ機能付きのVoIPゲートウエイを置く。ファクシミリなど一部だけ,加入電話網に直接つながる従来型の電話機を残しておいてもよい。
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 (1)では,拠点ごとにバックアップ用のSIPサーバーを置く。IP電話機やVoIPゲートウエイは,センター拠点のSIPサーバーと通信できなくなったときに,バックアップ用サーバーにアクセス先を切り替えるように設定しておく。バックアップ用のSIPサーバーを使えば,拠点のVoIPゲートウエイを経由した加入電話網との発着信だけでなく,拠点内の内線通話も確保できる。大規模な拠点向けの対策だ。

 拠点内の内線通話をあきらめてよいのなら,(2)のバックアップ機能付きVoIPゲートウエイを使う方法がある。IPネットワークと加入電話網のほか,従来型の電話機がつながるタイプのVoIPゲートウエイを使う。このVoIPゲートウエイは,SIPサーバーと通信できなくなると,つながっている従来型の電話機で加入電話と通話できるようにする。

 このタイプのVoIPゲートウエイにつながるバックアップ用電話機は1台だけのことが多い。小規模オフィス向けの対策といえる。

切り替え電話を置く手も

 (3)はバックアップ用の電話機を残しておくというものだ。例えば部署ごとに,加入電話回線につながる電話機を残しておく。IP電話網経由では,ファクシミリがうまく使えないことがあるので,「バックアップ用の回線にファクシミリをつないでおけば無駄にはならない」(ネットワンシステムズ NWテクノロジー本部第1応用技術部の高橋 芳典チームリーダー)。

 拠点が孤立したときは,この電話機から加入電話網経由で発着信する。電話会社の着信転送サービスを使えば,VoIPゲートウエイで使っていた電話番号のまま,着信を一時的にバックアップ用の電話機に転送できる。