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Q 夜もPCを使って作業をしています。午前0時過ぎに作業を終えてベッドに入ることが多いのですが,なかなか寝つけません。アルコール類を飲むと寝つきはよくなりますが,午前3時から4時頃に目がさめてしまいその後,眠れません。昼間に眠くなることがあり困っています。 (38歳,男,SE)

 不眠には,なかなか寝つけない「入眠障害」,途中で目がさめてしまう「中途覚醒」,早朝に目がさめる「早朝覚醒」,熟睡できない「熟眠障害」の4つのタイプがあります。質問者の不眠は「入眠障害」のようです。

 症状を正確に診断するには,「入眠障害がいつどのように起こったのか」,「眠れないことを本人がどう思っているのか」,「眠れないことにどう対処しているのか」などを詳しく聞く必要があります。心身の病気や常用薬があるかどうかの把握も必要です。

 こうした確認をしないで回答することは難しいのですが,質問者は「原発性不眠症」の可能性がもっとも高いと思われます。「原発性不眠症」は,「何とかして寝ようとする気持ちが緊張を高め,入眠が阻害される」ものです。実際,昼間に眠くなるという困った問題があるので,「何とかしなければ」と思うのは当然です。しかし,その気持ちが悪循環の原因となっているのです。

ぐっすり眠るための8項目
ぐっすり眠るための8項目

 では,どうすればいいのでしょうか。厚生労働省の研究班のメンバーが執筆した「睡眠障害の対応と治療ガイドライン」(じほう発行,2200円)では,寝つきを良くするために表に示した8項目を実行するよう勧めています。

 質問者の場合,PC作業を寝る直前まで行っていることが入眠を妨げている可能性があります。PC作業は脳機能を覚醒化する方向に作用するので,表の(7)にある「リラックスする」に反しているわけです。リラックスするために,就床前に少なくとも1時間程度のクーリングダウンが必要です。まず,これを実行してください。

 リラックスする方法としては,身体イメージを使って心身の緊張をとる「自律訓練」も有効です。例えば「自分の手足が重くなる」とか「暖かくなる」と頭の中でイメージします。自律訓練の方法を解説したビデオは多数市販されているので,ビデオを使って自習できます。

 (8)にもある通り,医師の指導のもとに「睡眠導入剤」を飲み睡眠の質を取り戻すことも有意義な方法です。ただし,(6)に挙げられているとおり,アルコール類を飲むのはよくありません。寝つきは良くなりますが,2~3時間後にすぐ目がさめてしまうからです。結局眠れなくなり,飲酒量が増えてしまうことにもなりかねません。このほか,朝起きたときにすぐカーテンを開けて日に当たることも,睡眠のリズムを整えるうえで有用です。

 こうした方法でも改善されない場合は,心療内科か総合病院の精神科を受診してください。

河野 慶三 富士ゼロックス全社産業医
1970年,名古屋大学医学部卒。厚生省,熊本県公害部主席医療審議員,労働省主任中央じん肺診査医,産業医科大学助教授,自治医科大学助教授を経て,94年に富士ゼロックス本社産業医に就任。98年から全社産業医。著書に「働く人の健康管理」(労働新聞社)など。医学博士