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 システムを管理するうえで、人間の目が届く範囲には限界がある。管理対象が増えると、そのすべての状態を把握し、適切な操作を施すのは不可能に近い。そこでシステムの監視と分析、対処方法の決定を支援するハードウエア/ソフトウエアを整備することで、管理者の負担を減らす。これが自律コンピューティングの目的だ。

 自律コンピューティングの核となるのは、あらかじめ設定したルールの集合(ポリシー)である。結局のところ、自律運用に必要なアルゴリズムを与えるのは人間であることに変わりはない。例えば「CPUの負荷が90%を超えたら予備サーバーを追加」といったルールからなるポリシーを用意しておき、そのポリシーに従って自動運用する。

 ポリシーの作成や適用を自動運用するには、ハードウエアの冗長化と仮想化が基盤となる。
 まず、運用時に物理的な操作を加える必要性が低いほど、人間の介在が必要な場面を減らせる。予備のハードウエアが確保できていれば、負荷分散や冗長構成をネットワーク設定の変更や電気的なスイッチによる組み替えで実現できるからだ。例えばブレード・サーバーなら、多数のサーバー機を集中配置できるため、予備のサーバーの電源投入やOSイメージのインストールなどがスムーズに進む。
 次に、重要な要件となるのがシステムの仮想化。なぜなら、ポリシーの記述単位となるハード/ソフト、つまりオブジェクトの粒度をなるべく粗くする必要があるからだ。自律運用するハード/ソフトの仕様がまちまちであれば、ポリシー記述に際して考慮する組み合わせの条件の爆発を招く。仮想化によってコンピュータの仕様やアプリケーション・プログラミング・インタフェースをある程度統一することで、ポリシーを設定するツールの煩雑さや、それに伴う管理者の負担を減らせる。