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 Windows XPの最後(最新)のサービス・パックである「Windows XP Service Pack 2(SP2)」がリリースされて,まもなく3年がたとうとしている。筆者は長らく「Windowsのサービス・パックは毎年リリースされるのが望ましい」と考えていた。しかし,マイクロソフトは2008年上半期まで「Windows XP Service Pack 3(SP3)」をリリースする気はないし,多くのユーザーも新しいサービス・パックを望んではいないようだ。「サービス・パック」は,不要になったのだろうか?

 Windows NT 4.0やWindows 2000が主流だった時代,「サービス・パック」は1年弱でリリースされるのが常だった。マイクロソフトも「修正プログラムよりサービス・パックが優れている理由」という技術資料で,サービス・パックのことを「定期的なアップデート」と明言している。しかしWindows XP SP2が2004年8月にリリースされて以来,Windows XPにはサービス・パックが出ていない。サーバーOSである「Windows Server 2003」の「Service Pack 2」が2007年3月にリリースされたのとは対称的である。

ユーザーに負担をかけるサービス・パック

 マイクロソフトがサービス・パックの「出し渋り」をしたのは,Windows XPだけではない。同社は2004年11月に「Windows 2000 Service Pack 5(SP5)」のリリースをキャンセルし,Windows 2000向けのサービス・パック提供を終了している。Windows 2000 SP5をキャンセルしたマイクロソフトの言い分は「サービス・パックをリリースすると,ユーザーの負担になる」というものだった。

 新しいサービス・パックがリリースされると,1つ前のサービス・パックのサポートは1年後(場合によっては2年後)に終了する。よってユーザーとしては,最新のサービス・パックがリリースされたら適用するしかない。しかし,サービス・パックのインストールは面倒だし,企業ユーザーであれば,サービス・パックを適用する前にアプリケーション互換性のチェックなどが欠かせない。サービス・パックをリリースすると,ユーザーにコストが発生してしまうので,あえてサービス・パックのリリースをキャンセルした--というのがマイクロソフトの主張だった。

 Windows XP SP3がなかなか登場しないのも,同じ理由であるようだ。マイクロソフト セキュリティレスポンスチームの小野寺匠氏は「サービス・パックをリリースすると,そのシステムの寿命を縮める恐れがある」と指摘する。Windows XP SP3がリリースされなければ,当面はWindows XP SP2を使い続けられる。「Windows XP SP3は出されるだけ迷惑」と思っているユーザーが多いというのだ。

Windows XP SP2が作った“トラウマ”

 確かに,2004年8月にリリースされたWindows XP SP2は,ユーザーにとって大きな“トラウマ”になった。Windows XP SP2は単なる「修正プログラムの集合体」ではなく,セキュリティ強化のためにOSの仕様を大幅に変更するものだった。「Windows XP SP2を適用したら,アプリケーションが動かなくなって大変な目にあった」というユーザーも少なくない。「サービス・パックはもうコリゴリ」というのが,一般ユーザーの本心ではないかと思う。

 一方Windows XP SP2は,マイクロソフトにも大きな“トラウマ”を残した。マイクロソフトとしては「本来であれば有償のバージョンアップとして提供するセキュリティ機能強化を,サービス・パックとして無償で提供した」と思っていたWindows XP SP2なのに,ユーザーにはさんざんな評判だった。マイクロソフトも「サービス・パックはもうコリゴリ」と思っていることだろう。

本当に「サービス・パック」は不要か?

 それでも本当に「サービス・パックは出ない方がみんな幸せ」なのだろうか。冒頭に述べたように,筆者は長らく「Windowsのサービス・パックは毎年リリースされるのが望ましい」と考えていた。サービス・パックには利点もあるからだ。最も大きい利点は「大量の修正プログラムが,CD-ROMなどの形で提供される」ことである。

 Windowsには毎月,セキュリティ問題を修正する「修正プログラム」が大量にリリースされている。修正プログラムを欠かさず適用するには,ブロードバンドが必須である。逆に言うと,ブロードバンドに接続されていないWindowsは,危険なまま放置されているのが実情だ。

 セキュリティ専門家は,「ボットネットが蔓延しているのは,ブロードバンドの初期普及段階にある国々」と指摘する(関連記事:スパマーを追跡---インドから正体不明の薬が届くまで)。ブロードバンドが無かったために放置されていたWindowsが,ブロードバンドに接続されたとたんマルウエア(悪意のあるプログラム)の餌食になっている。こういった状況を改善するためには,ブロードバンドを使わずに修正プログラムをユーザーに届ける必要がある。サービス・パックは,その特効薬になるだろう。

 サービス・パックには,セキュリティ面以外の利点もある。Windowsに存在する「セキュリティ以外のバグ」を修正するのはサービス・パックの役割だし,複数の修正プログラムを一括適用できるので,OSの再セットアップなども容易になる。利点の詳細は,過去にも「マイクロソフトはサービス・パックの提供を早めるべきだ」や「Windows 2000に対するサービス・パックの提供はまだ続けてほしい」で触れたので,そちらを参照して頂きたい。

どちらがいいのだろうか?

 とはいえ筆者も,「Windows XP SP3」が早く出るのが望ましいのか,それとも出ない方がいいのか分からないでいる。サービス・パックには利点と欠点があり,利点は目に付きづらい一方で,欠点は大きく目立つ。Windows Vistaがリリースされた今となっては,Windows XP SP3の意義も小さくなった。

 読者の皆さんは,Windows XP SP3についてどう思われているだろうか。ITproのコメント欄や電子メール(筆者のメール・アドレスはanakada@nikkeibp.co.jp),皆さんがお持ちのブログ,お使いのソーシャル・ブックマーク・サービスなどで意見を表明していただければ幸いだ。