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緑のA4ファイルが楓のバイブル。実践を通じて日々更新されている
 大手金融機関を担当する楓は、2006年度に達成した成果により現在、親会社である三菱電機の社長表彰候補になっている。「あくまで私を含むチームへの評価。それでもグループ5万人を対象にした表彰だけに、期待を持っている」と語る。受賞すれば、グループのIT部門として12年ぶりの快挙という。

 その楓が自らの営業手法に確信を持った商談が、大手保険会社からの受注案件。全く取引がなかったその会社に対し、楓はシステム部門への接近方法から商談への参加、受注までのシナリオを作り、実践していった。最初に着手したのが、その企業内で三菱電機を担当している営業担当者への接触である。段階を踏んでシステム部門に訪問する機会を得て、ほどなく飛行機搭乗の際にかける損害保険システムの商談に参加するチャンスをつかむ。

 楓は提案でもチームをけん引した。東京国際空港(羽田空港)に出向き保険契約の端末を観察すると、「半日眺めただけでも、年配の方には操作が難しい、証書の排出が遅すぎるといった改善点が次々と見えてきた」。技術者とともに工夫をこらした新システムは見事に受注を獲得。この案件で得た信頼を足掛かりに、次の商談では得意分野である全社ネットワーク構築案件の受注に成功した。このうち最初の案件は2000年度に三菱電機の事業部長表彰を受賞し、その後も業務システムの構築を受注するなど、取引関係を広げている。その保険会社のシステム部門で楓を支援したキーマンとは、今も家族ぐるみの付き合いが続いている。

 楓は「キーマンが認めなければ、商談はそれまで。この不安は常に抱えている」と語る。そのため自らの営業手法を改善し、引き出しを増やす努力を怠らない。実践で得たノウハウを「マイビジネス・バイブル」として体系化しているのだ。顧客へのアプローチ、提案方法などにとどまらず、挨拶の仕方から接待技術まで、営業のあらゆる行動をプロセス化して記述している。「名前の通り私のバイブル。常にカバンに入れ、忘れないように読み返す」。

=文中敬称略

楓 淳一(かえで じゅんいち)氏
三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)
第一事業本部金融営業部 次長
1963年福岡県生まれ。86年九州大学卒業後、三菱電機に入社。コンピュータ事業部門を経て、95年に社内公募で関連のインターネット接続業者に出向。復社後は、放送機器の海外向け営業を経て、98年10月から金融機関向けのSI営業を担当。2001年4月のMDIS発足時に出向し、現在に至る。趣味は30年間続けているテニス。