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 ITエンジニアといっても職種や専門は様々ですが,いわゆる優秀なエンジニアに共通する重要な特性があります。「ビジネススキルであなたは変わる」の著者,エンパワー・ネットワークスの池田輝久氏によれば,それはコミュニケーション・スキルに長けていることだそうです。チームで仕事をする限りコミュニケーションは避けて通れませんから,さもありなんといったところでしょう。

 心理学では「NLP(神経言語プログラミング)」という体系があります。対人コミュニケーションの円滑化,あるいは自らのモチベーション向上などに,心理学や脳神経科学の成果を使うものです。

 NLPの創始者であるリチャード・バンドラー氏とジョン・グリンダー氏は,優秀な経営者や管理職を観察した結果,優秀なマネジャには次のような二つの特徴があることを発見しました。

  1. 的確な質問で,部下から必要な情報をうまく引き出せる
  2. 自分の伝えたいことを正確に伝達する言葉やフレーズを編み出せる

 NLPでは円滑なコミュニケーションを心がけたい時は,相手の「メタ・モデル」がどうなっているかを考えると良い,としています。メタ・モデルをざっくりと説明すると,相手が発した言葉の裏にある情報群,いわば「認知の地図」といったところです。

 認知の地図は一人ひとり違います。同じ会社,同じ部署など,仕事や生活が近い人であれば,地図で重なり合っている領域が大きい可能性が高まります。いわゆる「社内用語」は,こうした認知の地図の重なりに基づいたものと言えるでしょう。

 的確なコミュニケーションの実現は,まず相手のメタ・モデルを観察することから始まります。ビジネスではしばしば「相手の話を良く聞くことから始めよ」と言いますが,NLPは心理学の面からそれを説明づけているわけです。

 メタ・モデルという存在を頭に入れつつ対話すると,脳は自然と重要な情報を集めようと意識が向くそうです。つまり,会話中,相手が省略している事実や,一般化したり,おおげさに表現している言葉に意識が向き,その点を追求しやすくなるとのことです。

 ただ,追求することばかりに集中すると,会話の流れが中断してしまったり,相手に不快感を与えることにもなりかねません。当たり前のことではありますが,プロジェクト・チーム内の雰囲気が良いに超したことはありません。どうかメタ・モデルの“意識しすぎ”にはご注意を。

 近年,会議や市民参加の場では,「ファシリテーション」が重要視されています。ファシリテーションとは合意形成を円滑にはかること,あるいはその手法のことを言います。同じファシリテーションという言葉で挙げると,ソフト開発の分野では「プロジェクトファシリテーション」というチーム作りの手法があります。いずれにもメタ・モデルをはじめとしたNLPの手法を応用できるでしょう。

 NLP関連の書籍が最近増えてきました。気になる方は,ご覧になってみてはいかがでしょうか。