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 NHKと民放キー局5社の2006年度(2007年3月期)決算が出そろった(表1)。NHKは受信契約件数の増加などにより,増収増益を達成した。民放キー局は日本テレビ放送網とTBSが増益を達成した一方で,残りの3社は減益となった。民放キー局系のBS放送事業者では,BSフジなど2社が初めて単年度黒字を達成した(表2)。




NHKは経常収支差金ベースで2年ぶりの黒字

 NHKの2006年度決算は経常事業収入(民間企業の売上高に相当)が前年度に比べて6億円増加の6756億円,経常収支差金(経常利益に相当)が197億円増加の166億円だった。経常収支ベースの黒字化は2年ぶりである。増収の原動力となったのは受信契約件数の増加だ。2007年3月末時点の契約件数は3618万2000件で,前年度末に比べて3000件増えた。契約件数を底上げしたのは,カラーテレビでNHKの地上波放送とBS放送を視聴する人を対象にした「衛星カラー契約」である。2007年3月時点の衛星カラー契約件数は1281万2000件で,前年度末に比べて37万8000件増加した。この結果,2006年度末の受信料収入は前年度末に比べて9億円増加の6644億円となった。事業収入の9割強を占める受信料収入が前年度実績を上回ったことが,増収に結び付いた。

 一方,増益の要因になったのは,受信料の不払いに伴う「未収受信料欠損償却費」の減少である。2006年度の欠損償却費は505億円で,前年度に比べて105億円減少した。2004年に職員の番組制作費の着服などの不祥事が明るみになり,受信料の支払いを拒否する人が相次いでいたが,2006年度になってある程度の歯止めがかかったようだ。欠損償却費に加えて,「事業運営費」が前年度より減ったことも増益の一因になった。2006年度末の事業運営費は,前年度に比べて13億円減少の5315億円だった。

 民放キー局では,TBSだけが増収増益を達成した。連結ベースの売上高は前年度に比べて4.1%増加の3187億円で,経常利益は同70.4%増加の262億1600万円だった。放送事業では,番組の放送中に流す「タイム広告」と番組と番組の間に流す「スポット広告」の売り上げが,ともに前年度の実績を上回った。また映像・文化事業も,過去の人気ドラマのDVDなどの売り上げが増えたため増収増益を達成した。

 一方,日本テレビの連結決算は減収増益だった。他社と共同で制作した映画「DEATH NOTE」の興行収入やDVDの販売は好調だったが,タイム広告とスポット広告の売り上げが前年度に比べて減ったのが響いた。この結果,売上高が前年度に比べて30億円減少の3436億円,経常利益が同13.8%増加の341億円となった。

 これに対してフジテレビジョンの連結決算は減収減益となった。売上高は前年度比で1.8%減少の5826億円,経常利益も同8.6%減少の459億円にとどまった。番組の視聴率は好調だったものの,売上高で過去最高となった前年度の実績を上回ることができなかった。またテレビ朝日とテレビ東京の連結決算は,ともに増収減益となった。

BS放送は収益基盤が強化

 民放キー局系のBSデジタル放送事業者の2006年度決算は,BSフジとBSジャパンの2社が単年度黒字を達成した。民放キー局系の事業者が年間決算で黒字を計上したのは,今回が初めてである。BSデジタル放送の普及に伴い,より多くの広告収入を獲得できるようになったことが,2社の黒字化の追い風になったようだ。NHKの調査によると,2007年4月末におけるBSデジタル放送受信機の普及台数は約2312万台で,2006年3月末時点に比べて約1069万台増加している。ビーエス・アイ(BS-i)が2007年4月に単月ベースで黒字を達成するなど,他社も年間決算での黒字化が見えつつある。BS-iは2007年度に黒字決算を見込んでいる。ほかのBS放送事業者も2006年度決算で経常損失を圧縮しており,2007年度に黒字転換する可能性が大きそうだ。