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船井総合研究所のチーフコンサルタント 斉藤 芳宜 氏 斉藤 芳宜 氏

船井総合研究所のチーフコンサルタント
NTTを経て、2004年に船井総研に入社。中小ソフトハウスを対象に「即時業績アップ」をテーマにしたコンサルティングを手掛ける。

 職業柄、中小ソフトハウスの経営者と話す機会が多いが、最近は同じような嘆きを聞く。「仕事はあるが人が足りなくて…」。

 特に、金融や電子商取引分野のシステム開発は受注をこなせない状況が続いているという。

 業界を取り巻く経営環境を考えれば、この事態は全く喜べない。2009年ごろに訪れるであろう「ソフトハウス大淘汰時代」を前にした“小春日和”と言えるからだ。

 「2009年が危ない」と考える根拠は二つある。一つ目はソフトハウスの人不足が続き、成長が頭打ちになること。船井総研の調査では、2008年度入社の新卒採用が昨年以上に厳しいと答えたソフトハウスの経営者は90%を超えた。若者の人口が減り大企業が採用を強める中、2009年には新卒を採用できない中小ソフトハウスが多発すると予測される。

 二つ目の根拠は後継者の不在である。1960年代後半の第一次ブームにソフトハウスを創業した経営者の多くが、2009年ごろに60歳を迎える。しかしその大半が後継者をまだ指名できていないという。

 このように、企業の存続さえ危うい状況が目前にあるのに、それを直視しない経営者が多いのも事実だ。来るべき大淘汰期を乗り越えるには、好景気の今こそ、リスクを取って人に依存しないビジネスモデルに挑戦すべきだ。

 では、カネ・ヒトに乏しい中小ソフトハウスに何ができるのか。「パッケージの開発・販売」はよくあるパターンだが、競争が激しく昔のようには儲からない。そこで今回は、別のモデルを一つ提案したい。「受託開発を利用した権利ビジネス」である。

 そもそも受託開発は、典型的な低リスク・低リターンのビジネスである。しかし、一定のリスクを取れば、人に依存せず高いリターンが望めるビジネスに変えられる。

 具体的には、ユーザー企業が払うべき開発費用の一部をソフトハウスが負担する代わりに、システムの権利を保有。その上で、ユーザー企業が新システムで達成した売り上げに応じて成功報酬を受け取る仕組みである。

 私の顧客では、小中学校などに向けた「登下校管理システム」の受託開発で、権利ビジネス化に成功した例がある。この案件では、サービスに加入する生徒数に応じて成功報酬を受け取る契約をユーザー企業と交わし、順調に収益を生んでいる。

 もちろん、案件によって向き不向きがあり、利用者数や売り上げが見えやすい電子商取引やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、組み込みソフトなどから案件を選んだ方が良い。また下請けの案件にもまず適用できないだろう。このように制約は大きいが、人に依存せず収益が得られる上、成果物を横展開できるといった魅力がある。

 このほか私の顧客企業には、ネット事業への挑戦なども提案している。詳しくは別の機会に譲るが、ニッチ分野のポータルサイトなら、中小ソフトハウスでもまだ一番になれるチャンスがある。

 こう考えると、下請け専門、何でも屋のソフトハウスは、新しいビジネスに挑戦する土俵にも上がれないことになる。まずは下請けに甘んじず、自ら顧客企業を開拓する努力をしたい。リスクを取って受託開発依存からの転換に挑むか、変化を拒むか。2009年を控えた今が決断の時である。