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 1993年に日本でもERP(統合基幹業務システム)パッケージが紹介され始めたとき,ユーザー企業の多くはERPパッケージの機能について,あまり良い印象を持っていなかった。当時は外資系ベンダーのソフトが中心だったためか,ユーザー企業が口にするセリフはいつも「外資系のERPパッケージは日本の“商習慣”に合っていないため使いにくい」というものだった。

 その“商習慣”について聞くと,だいたいこんな内容だった。「日本企業は顧客サービスを重視している。顧客から“すぐに商品を持ってきて”と頼まれれば,とりあえず出荷処理をして倉庫から持っていく。だから喜ばれる。それがERPパッケージとなると,受注データを入力しないと出荷データが処理できないし,事前にきちんと価格まで入力しないと動かない。これでは顧客の要求に迅速に対応できない」というものだった。だから,「そのままでは使いにくいので,受注データや価格を入力しなくても出荷できるように,カスタマイズが大変だった」という声もあった。

 昨今の内部統制に関するさまざまな内容や動きを聞くにつれ,筆者はいつもこの話を思い出す。内部統制の考えは,こうした日本の“商習慣”とは全く反対だからだ。受注データも入力せず,商品の価格も決まらず,「とりあえず出荷して顧客に届ける」という販売方法は,内部統制の時代ではもうできないだろう。今まではERPパッケージのデメリットとされてきた部分が,今ではむしろメリットとして捉えられている。時代は変わったというべきか。

 特に最近,多くのERPベンダーは内部統制の強化に有利という点を打ち出したり,さらなる関連機能を備えることで売り込みをかけている。大手の上場企業だけでなく,内部統制が今後求められるであろう中堅・中小企業といった成長企業などもターゲットにしている。大手が内部統制を強化すれば,取引先である中堅・中小企業の内部統制も強化せざるを得ない。

 だが,ERPパッケージがどこまで内部統制の強化に役立つのか。実際は未知数の部分もある。ERPパッケージの導入だけでも大変なのに,同時に内部統制まで実施できるのか。さらに,内部統制を視野に入れたERP導入のポイントとは何か,といった疑問も出てくるに違いない。そこで弊誌では,内部統制の動きを踏まえたERP商談の提案をテーマとするセミナー「中堅・中小企業に売り込むERP商談のコツ」を6月29日に開催する。同時に発行する特別ムック「中堅・中小企業のためのERP導入実践ガイド'07-'08」の発刊記念も兼ねている。

 日本版SOX法の施行を目前に控え,多くの上場企業はまずは手作業で対応しようとしている。しかし毎年,実施するとなると手作業では不可能だろう。そこで新たなシステム導入が求められてくる。そのシステムはどんな形態になっているのだろうか。内部統制とERPの関係は,これからも追求していきたいテーマである。