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 ITの現場でのマインドマップの利用方法を,具体的な例を使って解説しました。まとめとして,マインドマップを使ったアイデアの「収集」⇒「整理」⇒「表現」の流れを,図11にまとめました。

図11●マインドマップを使ったアイデア収集・整理・表現の流れ
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 最初は,マインドマップのテンプレートを用意します。典型的なものがあればそれを使い,なければBOIを自分でデザインします。そこからアイデアの収集・整理を繰り返し,最後にその結果を表現として出力することになります。バリエーションとして,表現をほかのツールに持っていったり,インプットをほかのツールから得たりすることもできます。

 点線で囲った部分が,マインドマップの特性を最も生かしている部分,すなわちアイデアの収集と整理です。このように考えると,まだまだいろいろなマインドマップの利用法があると思います。みなさんもどんどん自分でテンプレートを作ったり,新しい表現を編み出したりしてみてください。

 最後に,少々柔らかい例として,マインドマップを使って自己紹介をする手法をお見せしましょう(図12)。

図12●偏愛マップのマインドマップ例
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 図12は筆者自身の自己紹介マインドマップです。このように自分の「愛するもの」を書き出して1枚のマップにする手法を「偏愛マップ」といい,詳しくは齋藤 孝氏の本『偏愛マップ』を参照してください。

 筆者の周りでは,プロジェクトのキックオフや新しいメンバーが参加したときなどに,これを使って自己紹介をすることが多いようです。プロジェクトのキックオフでは,たいていプロジェクトの目標や体制が発表されると同時に,各自の自己紹介をし合います。単純な名前だけの自己紹介では,顔と名前がなかなか一致しなかったり,印象をうまく残せなかったりと,淡白なものになりがちです。キックオフやその後の懇親会で,マインドマップを使った偏愛マップを試してみましょう。意外な人の意外な趣味を知ることができたり,今までお互いに気がつかなかった共通点が見つかったりして,プロジェクトメンバー間の心の距離を縮め,コミュニケーションを促進する効果があります。

 図12はマインドマップ・ソフトウエアを使っていますが,その場で手で描く方が,より効果が得られます。まず,A4程度の紙と視認性の高い水性サインペンを全員に配ります。そして,中央に自分の名前を,できれば似顔絵といっしょに描くとよいでしょう。そして,自分の「愛してやまないこと」を描いていきます。BOIには,いくつかカテゴリを自分で勝手に描いてもらいます。私はBOIを「家族」「音楽」「余暇」「住まい」「本」としました。偏愛マップに描く項目は,具体的であればあるほど,趣味が同じ人を見つけたときの親近感が強まります。音楽であればアーティスト名,食べ物であれば近所の店の名前など,「知る人ぞ知る」,オタク的な要素があるほどいいマップになります。

 偏愛マップは自由気ままに大好きなものを描いていきます。誰でも描くことがでるので,最初に描くマインドマップの練習としてお勧めです。マインドマップを試して見せ合う仲間がいなくても,自分の大好きなものを自由に描くのは楽しいことです。ぜひ一人でも試してみてください。ちなみに私は,知らない人が集まる飲み会の席(セミナーのあとやイベントの懇親会)で紙とペンを配って,みんなでこの偏愛マップを描いて自己紹介することでアナログなソーシャルネットワークを作ることを楽しみのひとつとしています。

 図13は,水越 明哉さんの偏愛マップの例です。水越さんはいつもゲルマーカーというクレヨン風の書き味がするペンを持参しており,このようなきれいな手描きの偏愛マップを得意としています。手描きのマインドマップは非常にインパクトが強く,プレイバック効果を生かして相手に自分を印象づけることができます。逆に相手のことを思い出すきっかけとなるビジュアルとして活躍します。

図13●手書きの偏愛マップ例(作:水越 明哉氏)
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 図14は,天野 良さんの偏愛マップの例です。天野さんもいつもマインドマップ用のスケッチブックと水性ペンを持ち歩いているそうです。このマップでは,セントラルイメージが特徴的ですし,イラストが方々にちりばめられていて印象を残しています。さらに,右下の「お酒」という枝と「食」という枝に注目すると,好きなお酒と料理の相性なども描いていることがわかります。

図14●手描きの偏愛マップ例(作:天野 良氏)
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 マインドマップで偏愛マップを作って自己紹介する方法には以下の利点があります。

  • 個人の好きなものが一目でビジュアルに伝わる(一覧性)
  • 名前と顔,そして趣味などを一致させやすい
  • 知らない人に話しかけるきっかけになる
  • マインドマップを練習するための良い題材になる
  • 楽しい!

 このように,アナログのマインドマップには,デジタルにない楽しさと良さがあります。みなさんもぜひ,アナログとデジタル,両方を使い分けてソフトウエア開発の現場を楽しく,生産的に,創造的にしてみませんか?


※本記事のマインドマップ(手書きを除く)には,株式会社チェンジビジョンのJUDE/Think!とJUDE/Professionalを使っています。評価版は,下記のURLで入手できます。
http://jude.change-vision.com/jude-web/index.html

平鍋 健児(ひらなべ けんじ)
 株式会社チェンジビジョン代表取締役社長。株式会社永和システムマネジメント副社長。本連載の基になった『ソフトウエア開発に役立つマインドマップ チームからアイデアを引き出す図解・発想法』(2007年6月,日経BP社発行)を執筆した。