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 総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」は2007年6月19日,通信・放送産業においてデジタル化やIP化が進展することに対応するため,現行の通信・放送関連法制の在り方を抜本的に見直すための「中間取りまとめ」を公表した。総務省はこの中間取りまとめに対する意見募集を7月20日まで実施し,その結果を踏まえて2007年12月までに最終報告書を作成する計画である。

情報通信法(仮称)の考え方
表1●情報通信法(仮称)の考え方
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 今回の中間取りまとめでは,電気通信事業法や放送法,有線テレビジョン放送法など,サービス区分ごとに縦割りになっている現行の九つの法制度を対象に,2011年度をめどに「情報通信法」(仮称)に統合することを提言した。新法制では,通信・放送に係わるサービスや設備を,情報の作成・表現活動である「コンテンツ」,コンテンツの円滑な流通を支える媒介機能を「プラットフォーム」,コンテンツの流通を電磁的な手段で伝える「伝送インフラ」の三つのレイヤー(階層)に分け,各レイヤーごとに規律を規定する(表1)。こうした法制度に転換することで,デジタル化やIP化によって生まれる同一レイヤー内での競争や,レイヤーを超えた事業者間の連携などに対して公正に対応することができるとしている。さらには技術の中立性の確保や,従来の枠組みを超えた事業者の連携・統合などを促進し,情報流通のオープン性と普遍性を確保することも狙う。


地上波テレビ放送は現行ルールを維持

中間取りまとめで示されたコンテンツの分類
表2●中間取りまとめで示されたコンテンツの分類
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 各レイヤーごとの考え方をみると,まずコンテンツに関する法体系では,現行の放送法で規定される「放送」と,インターネットなどの通信手段で公開される「公然性のあるコンテンツ」を,ネットワークを流通するコンテンツとしてひとまとめに扱う。そのなかで社会的な機能や影響力によって,法制を整備するとした(表2)。


 コンテンツの種別では,放送や放送に類するサービスを「メディアサービス」とし,Webページなどの誰でも見ることを想定した通信を「公然通信」とした。それ以外の電話のような相手を特定した通信は,従来の通信と同じ私信の扱いとした。

 メディアサービスについては,現在の地上波テレビ放送を「生活に必要不可欠な情報を総合的に提供し,災害などの主要な情報伝達手段として特別な役割を持つ」と位置付け,現在の法制度におけるルールを維持することにした。一方,CS放送やケーブルテレビ(CATV),インターネットによる映像配信などは「一般メディア」と位置付けた。それぞれのサービスの社会に与える影響などを踏まえて,適正な内容を確保できれば,そのほかの編集規律などは緩和するとした。

 Webページなどの公然通信については,青少年の育成に対して有害なコンテンツなど公共の福祉に影響があり一定の規制が必要なものなどを対象に,一定の利用範囲に限り認めるといった「ゾーニング規制」の適用を検討する必要があるとした。


配信システムなどのプラットフォーム機能にも注目

 中間取りまとめでは,通信と放送という単一のサービスではなく,そのうえで利用するコンテンツ配信サービスや商取引,公的サービス提供基盤といった機能を持つプラットフォーム機能にも着目した。今後ネットワークの活用が進展すれば,こうしたプラットフォーム機能が高度な社会性や公共性を提供する。そこで,現在の電気通信設備だけでなくプラットフォーム機能においても寡占による競争阻害を防ぐため,外部へのオープン性を確保する規律が必要かどうかを検討すべきとした。

 伝送インフラについては,特別メディア以外の通信・放送にかかわる利用ルールを一元化し,事業者による柔軟な事業展開を促進させる必要があるとした。また電波の柔軟な利用促進を図るため,通信・放送の区分にとらわれない免許制度の見直しなどを提言した。