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ノークリサーチ代表 伊嶋 謙二 氏 伊嶋 謙二氏

ノークリサーチ代表
矢野経済研究所を経て98年に独立し、ノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査、コンサルティングを展開。中堅・中小企業市場の分析を得意としている。

 ユーザー企業よりも、売り手側の都合を優先するーー。中堅・中小企業に対するITサービス会社の姿勢を見ると、このような姿勢が顕著に見られる。ユーザーが望んでいることを提案できずに、概念的な“ブーム感”から作り出されるソリューションの押し売りは、もはや簡単には通用しない。中堅・中小企業をなめてかかかると、しっぺ返しを食う羽目になる。

 例を挙げると、「判で押したような内部統制便乗セールス」だ。これに対する中堅・中小企業の反応はクールで、しかも既に相当の理解があることが分かる。実際に彼らの声を紹介したい。

■何でもかんでもITと関連付けられている昨今の狂乱はおかしい。内部統制で問われていることは何か。それは企業の「まともさ」であり、IT以前の企業倫理、経営者の倫理、従業員の倫理すべてがあてはまる。つまりITとは別次元の問題で、ITは「少しだけ役立つ」程度のものに過ぎない。少なくとも内部統制では、弊社を含む大半の企業には、ITは必須ではない。

■内部統制の監査でコンピュータの役割は単純だ。プログラムが手順書なのでプログラム通りにしか動かず、例外はあり得ないからだ。だから「手作業部分」を IT化することで内部統制に耐え得るようにすることは有効だと思う。しかし、きちっとしていれば手作業でも構わないし、手順書と牽制体制を作る方が安く速いことも多い。

■内部統制における自分の会社の弱点を知って、その「解決策の一つがIT化」という方法もあるということではないのか。売り手の都合で内部統制にはITが必須というプロモーションはおかしい。

■今、守りに回るためにIT投資をするほど余裕のある中堅・中小企業は多くはない。それより我々が買わされた多くのコンピュータインフラを、役に立つように導いてほしい。お金を生む助けになるITこそ、切実に求められている。「内部統制のためにIT投資をしなければならない」というアナリストやコンサルタント、メーカーは無視すればいい。しかしそれらに乗せられて「社内のシステムを刷新しなければならぬ」などという経営者がいるのだから噴飯ものだ。

■内部統制対応プロジェクトを実施して分かったことは、「会計士以外の言うことは聞くな」だ。内部統制報告書の監査を担当する監査法人も、貴重な関与先に対して「内部統制が不備」などの監査意見を書きたがっているわけではない。J-SOXは、監査法人がコンサルティングを行うことを禁止していないので、作業のムダを省くためにも委託するほうがベターだし、予算がなくても方針は尋ねておいたほうがよい。妙な脅しに乗らず、やらなくてはならないことを正確に把握できれば手作りでも対応できないことはない。

 いかがだろうか。中堅・中小企業は、底の薄いソリューションを求めている訳ではない。実はこれらの声は、弊社が関わっている中堅・中小企業のIT部門向けのQ&Aサイト「シス蔵」からのものだ。中堅・中小企業のリアル感がひしひしと伝わってくる。仕掛けは「聞くのも答えるのも利用者(中堅・中小企業のIT部門の人)」というシンプルな構成にある。

 ITを中堅・中小企業に売りたいと思うのなら、このような場を活用し、“生の声”を聞いてほしい。そしてそれを提案に生かしてもらいたい。