PR

 一般モニター500人を対象にしたNTTグループのNGNフィールド・トライアルでは,テレビ電話,映像サービス,ブロードバンド・アクセスのトリプルプレイを1本の光ファイバで実現する。中でも家庭のテレビをターゲットとしたIP映像サービスはユーザーに分かりやすく,キラー・アプリケーションになり得るものだ。

 トライアルではH.264方式の高画質映像による「ハイビジョン映像配信サービス」と,「地上デジタル放送のIP同時再送信サービス」を,NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が提供する。ユーザーは三菱電機製のセットトップ・ボックス(STB)1台で,映像配信とIP同時再送信を視聴できる。

 映像を送信する際のNGN内の品質は,クラスB(高優先)で設定している。双方向で音声や映像をやり取りするテレビ電話やIP電話がクラスA(最優先)を設定しているのに対して,下り方向が中心となる映像配信サービスは一段低い優先度で提供する。

通信で送られる画像をリモコンで選ぶ

写真1●ハイビジョン映像配信サービスのメニュー画面
写真1●ハイビジョン映像配信サービスのメニュー画面
[画像のクリックで拡大表示]

 ハイビジョン映像配信サービスは,VOD(ビデオ・オンデマンド)IPマルチキャスト方式の2種類を用意した(写真1)。モニターはSTBに付属するリモコンを使い,テレビやDVDを操作するのと同じような感覚で,映像コンテンツを視聴することが可能だ。

 視聴できる映像コンテンツは,ニューズ・ブロードキャスティングジャパンのドキュメンタリー番組や第一興商のカラオケ,バンダイチャンネルのアニメーション,INFASウェーブのファッション情報など。NTTコミュニケーションズが映像配信用のインフラを構築し,コンテンツ・ホルダーに提供する。映像配信用のインフラは,ハイビジョン・マルチキャスト送出システム,ハイビジョン・ビデオ・オンデマンド送出システムなどで構成されており,NGNのQoS制御によって安定したハイビジョン映像を配信できる。



写真2●ハイビジョン映像配信サービスで,INFASウェーブが提供する「ファッションチャンネル」
写真2●ハイビジョン映像配信サービスで,INFASウェーブが提供する「ファッションチャンネル」
[画像のクリックで拡大表示]

 映像を持つコンテンツ・ホルダーにとっても,このインフラが登場する意義は大きい。トライアルで,ハイビジョン映像配信「ファッションチャンネル」(写真2)を提供するINFASウェーブもその価値を実感する1社。同社の角倉典彦取締役統括部長は「映像コンテンツを,家庭のテレビでユーザーがインタラクティブに操作して視聴できるところがポイントだ」とNGN経由のコンテンツ配信に乗り出した理由を語る。

 同社はこれまでストックしてきたファッションショーの映像をいくつも提供するが,ユーザーがリモコンを操作することで,同一ブランドの異なるシーズンのファッションをチェックしたり,違うブランドの映像を見たりできる。同社はこれまでも様々な媒体を活用して映像コンテンツを提供してきた。単に映像を流すだけではなく,IPが持つ双方向性を使って,「ユーザーの嗜好に合った映像を配信できる」と,角倉取締役は評価する。

IP同時再送信も予定通り提供

 地上デジタル放送のIP同時再送信も,本トライアルのスタートに滑り込みで間に合わせた。IP同時再送信はNGNフィールド・トライアルの中で1月から実験していたが,対象がNGNショールームやNTTグループ社員宅に限定されていた。しかも,実験は放送局との契約が切れた3月末でいったん終了した。

 NTTコムが2007年度の実証実験の再委託を総務省から受け,放送局からの再送信同意を得たのは5月のこと。これを受け,東京都内のモニターに限られるものの,デジタル放送のIP同時再送信を提供できるようになった。

 今回取材に協力してくれたモニターはもともと,地上デジタル放送を視聴できる環境にあった。実際に電波で受信した地上デジタル放送と,IP同時再送信の画像を見比べたモニターは「意識して見ないと違いには気付かないレベル」と評価しており,日常生活の中で視聴する分には特に問題はなさそうだ。