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 VIP待遇の携帯電話があるというのをご存知ですか? あまり知られていませんが,災害発生時や年末年始などでつながりにくい場合でも,優先的につながる携帯電話端末があるのです。

 VIP端末と密接に関係する携帯電話の発信の仕組みからお話しましょう。第3世代携帯電話方式「W-CDMA」では,電話やデータ通信を始める前に,非常に綿密な制御をしています。端末が勝手に強い電波を出したら,電波同士がぶつかり合ってお互いに通信できなくなってしまうからです。

 そこで端末は,通信を始める前に「通信したい」という要求を無線基地局に送ります。この要求を「プリアンブル」と呼びます。無線基地局がプリアンブルを受け取って端末に「通信していいよ」と返事を送り,端末がその返事を受け取ると通信が始まります。この仕組みで複数ユーザーの通信が,ぶつからないようにしています。ただし,プリアンブル自体が他のユーザーのプリアンブルとぶつかる心配があります。

携帯電話はなぜつながるのか
紹介した内容については,書籍『携帯電話はなぜつながるのか』(日経BP社)で詳しく解説しています。ぜひ,そちらもご覧ください。

 そこで,プリアンブルもなるべくぶつからないように工夫しています。プリアンブルを送る「ランダムアクセス・サブチャネル」というチャネルを12種類用意しているのです。サブチャネルが違えば,同時に複数ユーザーがプリアンブルを送っても,無線基地局がきちんと判別できます。

 仕組みの説明が長くなりましたが,VIP待遇の携帯電話端末と普通の携帯電話端末とでは,このサブチャネルの使い方が違います。災害などでネットワークが混雑すると,普通の端末は利用できるサブチャネルが制限されます。一方,VIP待遇の端末にはこの制限がなく,優先的にプリアンブルを送れるので,他の端末よりもつながりやすくなるのです。

 ただし携帯電話ショップで「VIPケータイをください」と言っても,買えるものではありません。プリアンブルを優先する方法は携帯電話事業者に運用が任されていますが,災害対策用に警察や自治体などに配布することが多いようです。具体的には,携帯電話端末に挿入するUIM(User Identity Module)という小さなカードの中に,優先するかどうかという情報を入れています。