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 携帯電話端末は,ほとんど眠ってばかりいることをご存知ですか? 「電話がかかってきたらすぐに着信音が鳴るし,そんなわけないだろう」と思われるかもしれません。実は,着信は見逃さずに眠るという面白い技術を使っています。

 最近の携帯電話端末は,非常に複雑な処理をしています。第3世代携帯電話で使うCDMA(Code Division Multiple Access)の処理は特に複雑で,消費電力が大きくなります。何も対策を採らないと,すぐに電池がなくなってしまいます。そこで,待ち受け状態の時には,必要最小限の時間だけ動作させるようにしています。これが,「間欠受信」と呼ぶ技術です。

 間欠受信の仕組みを説明しましょう。ユーザーには知らされていませんが,携帯電話端末はあらかじめいくつかのグループに分けられています。着信を知らせる時はまず,そのグループのユーザーに着信があるかないかを定期的に通知します。携帯電話端末は,自分が所属するグループに関係する情報が届く時だけ,起きて電波を受信します。

携帯電話はなぜつながるのか
紹介した内容については,書籍『携帯電話はなぜつながるのか』(日経BP社)で詳しく解説しています。ぜひ,そちらもご覧ください。

 「着信なし」の場合は,次のタイミングまで携帯電話端末は眠りにつきます。「着信あり」の場合は,グループの中の誰に着信があったかを通知する制御チャネルを確認します。自分宛に着信があったとわかると,携帯電話端末は無線基地局に返事をして,電話をつなぐ処理が始まります。

 携帯電話端末のグループ数や,どのくらいのタイミングで「着信あり」「着信なし」の情報を送るかを決めるパラメータには,それぞれいくつかの選択肢があります。これらのパラメータは,携帯電話事業者が選べるようになっています。着信を知らせる間隔(周期)を長くすると,着信してから端末が気づくまでに時間がかかりますが,電池の消費量は少なくできます。

 パラメータの選び方によって,携帯電話端末が寝ている時間と起きている時間の比率が変わります。イメージをつかんでいただくために例を出すと,仮にグループ数を36とすると,1回の送信時間は0.3ミリ秒以下となります。さらに「送信周期」を2秒に設定すれば,イメージとしては2時間にたった1秒だけ起きて受信しているような計算になります。ただし実際には,もっと頻繁に少しずつ起きています。このような複雑な処理で,携帯電話は電池を長持ちさせているのです。