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田代 吉登 氏
IDSシェアー・ジャパン
ARIS事業部ARISコンサルティング部
シニアコンサルタント、公認内部監査人


 財務諸表の作成に関与しているExcelツールは、「スプレッドシート統制」として内部統制の対象となる(関連記事:スプレッドシート統制、連結決算業務に注意)。この点について、銀行はとりわけ入念に情報を収集しておきたい。

 注視すべきは、金融情報システムセンター(FISC)が2007年3月に発行した「金融機関等のシステム監査指針第3版」である。第3版でスプレッドシート(Excel)統制の必要性が明記された。少なくとも金融業は、同書の監査指針で示されたレベルで、スプレッドシートを統制をする必要がある。

 異業種の担当者からすれば、「情報システムに多額の投資をしている銀行でExcelツール?」と思うかも知れない。だが実際には、多くの銀行でExcelの利用は浸透している。私は現職に就く数年前まで、ある銀行で本部融資部門に勤務していたが、現場ではVBAでマクロを組んだExcelシステムが不可欠なツールだった。

 当時、その銀行で利用していたExcelシステムは、基幹システムではまかないきれない不良債権の集計業務を効率化するため、私自身が開発したものだった。Excelシートを各営業店に配布し、各営業店の債権額を入力してもらう。各営業店からExcelシートを回収し、シート連携でデータをマージする。その後、マクロ機能を使って顧客の業種ごとに債権額を集計したり、第三分類(破綻懸念先債権)や第四分類(破綻債権)の額などを集計していた。

 自作のExcelシステムで集計した結果は、当時の大蔵省(現・財務省)に報告したり、貸倒引当額を決める際に利用していた。貸倒引当額を決めるということは、財務報告に重大な影響がある。したがって、このExcelシステムはスプレッドシート統制の対象となる。

 業務部門が利用しているExcelシステムを洗い出すには、まず業務プロセスを文書化する作業を丁寧に行うことが前提となる。業務プロセスの中に、「基幹システムからデータをエクスポートし、集計後に別のシステムにインポートする」業務があった場合、その集計作業にExcelが利用されている可能性が高い。

(聞き手・構成は菅井 光浩=日経コンピュータ)