PR

Forrester Research, Inc.
ジョン・C・マッカーシー バイス・プレジデント


 およそ2年前、フォレスター・リサーチが中国のオフショアと世界への配送モデル(GDM)の役割を最初に調査したとき、近い将来中国がインドの主な対抗馬になると予想していた。しかし、フォレスターが多国籍企業、インド、中国、日本のIT企業および政府高官に対して行った最新の調査では、市場は予想どおりには立ち上がっていないようだ。中国に拠点を構える多国籍企業や日本からの需要はあるものの、米国とヨーロッパからの需要がさほど増えていないのである。

 中国のオフショアの成長を妨げる要素は3つあると考えられる。一つは、中国のオフショアの実力をクライアントが不安視しており需要が少ないこと。日本は主要な顧客であるが、成長の原動力にはなっていない。米国や欧州の顧客からの受注はまばらであり、そのほとんどがプロジェクト単位である。我々のインタビュー相手の共通認識は、英語、人材不足、知的所有権(IP)保護に関する不安がぬぐえないということだった。

 第2の要因はサービス開発体制の遅れである。顧客からの需要が少ないために、ベンダーによるサービス提供も限定的である。開発の多くが、SAPのようなパッケージに対する追加機能の実装といったプロジェクト単位の事業である。

 第3の要因は、経験豊富なマネージャや技術者の不足、そして賃金の上昇だ。中国はインドの代替として考えられたにもかかわらず、インドと同じ問題を抱え始めた。さらに、ドルに対する元の価値も上がっている。あるベンダーは、今後3年、1年当たり7~9%の上昇率を見込んでいる。

中国オフショアの効果的活用法

 中国のオフショアの動きが鈍いことを考えると、上昇する人件費と人材不足に対して中国が特効薬を与えてくれると考える企業は失望するだろう。慎重な行動が必要だが、適切に管理できる小プロジェクトなら検討に値する。

 中国における技能教育は、主にJ2EEのような最新の技術に照準を合わせている。そこで、最新分野における小プロジェクトに限定したほうがいいだろう。

 次に、知財の管理を厳しくし定期的に監査すると同時に、訓練プログラムを提供すること。インフォシスは、知財保護の重要性を認識させるため、毎日のテストとトレーニングを欠かさなかったという。

 最後に、リスクを回避するために、他の地域も視野に入れたオフショアの「多角化」を推奨する。フィリピンやメキシコ、ブラジルは、技能や言語、利便性において中国よりもよい代替手段になる可能性がある。

 中国のオフショアの動きが鈍いことによって、オフショア市場全体あるいはITサービスに対してどんな影響があるだろう。

 まずオフショア開発を推進する国は、いくつかの実行プログラムや戦略を変える必要がある。タイやマレーシア、エジプト、モロッコのような国の経済開発を担当する組織は、「オフショアに対応できる技術系卒業生がたくさんいます」と看板を掲げるだけでなく、プロジェクト管理や高度なアーキテクチャの構築などの高いスキルが求められる技術に焦点を合わせた教育プログラムを実践すべきである。

 サービス事業者には、他社との差異を示すような専門技能を確立するため、マーケティング力が求められる。そして政府には、インドに代わってオフショアとして売り出すため資金を投入する必要がある。

 中国については、オフショアの取り組みを改めて見直すべきである。インドが優位な立場にある領域で競争するのは得策ではない。試験やデータ管理、商品開発サービスのようにインドの優位性が少ない分野での地位を確立するのを奨励すべきある。