Forrester Research, Inc.
Larry Fulton Senior Analyst
Mike Gilpin Vice President, Research Director
Jacqueline Stone Research Associate


 サービス指向アーキテクチャ(SOA)において、サービス資産を格納しておき、ワークフローと結びつけてサービスのライフサイクル管理を自動化する役割を担う「SOAリポジトリ」。1年前は、フラッシュライン社、インフラヴィオ社、ロジックライブラリ社、システィネット社といった、スタートアップのベンダーばかりだった。

 この1年の間に状況は大きく変わった。米BEAシステムズがフラッシュラインを買収。BEAはAquaLogic製品群のなかに、AquaLogic Enterprise Repositoryという製品を追加した。システィネット社は1月にマーキュリー・インタラクティブが買収し、そのマーキュリー社を米HP社が買収した。この結果、システィネット社のリポジトリ製品と、マーキュリー社のIT管理テスト・スイートがHPに移った。

 さらにウェブメソッド社がインフラヴィオを買収。これでウェブメソッドはSOAの設計時、実行時、変更時におけるメタデータ管理やSOAガバナンス、他のプラットフォームとの統合機能を手に入れた。

 これに対し、自社製品で対応してきたのがソフトウェア・エージー、富士通、IBM、オラクル、SAPだ。ソフトウェア・エージーと富士通は共同でCentraSiteというリポジトリを作り、SOAプラットフォームに適用している。IBMはWebSphere Service Repositoryツールを自社開発したし、オラクルはMetaData Servicesを提供している。SAPもSOAリポジトリを製品化すると発表済みだ。

製品ラインの統合が進む

 こういった変化は、SOAリポジトリを巡る競争が新しいラウンドに入ったことを示している。今後は買収した製品の統合が進むと同時に、他社の実行管理製品との連携機能が重視されるだろう。この見込みからすれば、大手のSOAガバナンスのベンダーは新しい製品とそれまでの製品ラインを統合してくるはずだ。

 すでに複数ベンダーがSOAプラットフォームのコンプリート・セットを備える。BEA、富士通、IBM、オラクル、SAP、ソフトウェア・エージー、ウェブメソッドはいずれも、ガバナンス、サービス・ライフサイクル管理、配布、実行環境を提供している。

 IT管理とガバナンス機能のコンプリート・セットを提供するベンダーもある。HPとIBMだ。HPはマーキュリーのテスト機能をSOAガバナンス・ソリューションに統合している。両社はそれぞれ、OpenViewとTivoliというシステム管理ツールを提供しており、ここにSOAリポジトリが追加される形となる。

 唯一生き残ったスタートアップであるロジックライブラリは、プラットフォーム中立のソリューションを提供し続ける。ロジックライブラリのLogidexは、JavaとWindowsで実装されている。買収されたこれまでの競合製品と同様、ロジックライブラリはSOA実行環境のベンダーとパートナシップを結んで統合に必要な作業を実施している。すでにBEA、IBM、マイクロソフト、オラクル、SAP、セレナソフトウェア、SOAソフトウェアなど多くのベンダーと協力関係を結んでいる。

 SOAリポジトリを巡る買収は、とりあえず一段落したとみるべきだろう。ただロジックライブラリは、SOAガバナンス市場で製品を広げたいプラットフォーム・ベンダーにとって、明らかなターゲットである。例えばマイクロソフトにとっては格好の相手に見える。だが、同社はSOAを設計パターンと考え、SOAガバナンスをビジネス・プロセスと位置づけているため、この種の製品の統合を考えていない。もっと小さなベンダーがロジックライブラリの買収によって成長しようと考える可能性はあるが、当面はロジックライブラリは独立した会社としてSOAガバナンス市場に残りそうだ。