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Gartner, Inc.
Jackie Fenn Research VP & Gartner Fellow
山野井 聡 Research Group VP


 Web2.0は、インターネット関連のテクノロジーとビジネスモデルにおける最新トレンド群を包含する呼称である。玉石混淆と言えるWeb2.0の中で、ユーザー企業が目配りすべき点は何か。ガートナーは先ごろ、テクノロジー評価手法「ハイプサイクル(Hype Cycle)」を使ってWeb2.0を評価した。企業にインパクトを与えるとした4点、「ソーシャル・ネットワーク分析」、「Ajax」、「集合知(コレクティブ・インテリジェンス)」、「マッシュアップ」について、ガートナーの評価をお伝えする。

 に示したように、最新テクノロジーのハイプサイクル上、Ajaxを除く3点は、「過度な期待のピーク」に属している。ごく一部の成功例を基に、メディアが熱狂するが、その裏に多くの失敗例が隠れている時期である。一方、Ajaxは過度な期待のピークを過ぎ、「幻滅期」に入った。

図●最新技術のハイプ・サイクル例(2006年7月)
図●最新技術のハイプ・サイクル例(2006年7月)

 幻滅期には、メディアが報道しなくなり、その技術を担うベンダーの淘汰が進む。しかし先進ユーザーは利用を続け、ベンダーによる改良が進むので、生き残ったテクノロジーは「啓蒙活動期」、「生産性の安定期」へと向かう。各技術がどの段階にあり何年くらいで普及し、インパクトを与えるか、を見るのが、ハイプサイクル分析である。

●ソーシャル・ネットワーク分析 2年以内に広く使われ、企業に「high」インパクトを与える。すなわち、業種・業務アプリケーションを新しい方法で実行することを可能にし、企業の売り上げ増加またはコスト削減を大幅に促進する。企業は、ソーシャル・ネットワークによって、不特定多数の消費者の情報や知を利用し、市場開拓やプロジェクトの成功に貢献できる。

●Ajax Webブラウザによって豊かなユーザー経験をもたらすテクニックの総称である。2年以内に広く使われ、企業に「high」インパクトをもたらす。使い勝手の改善に加えて、サーバー・アプリケーションとの連携により、さらに大きな効果を上げる。

●集合知 個人が連携し合い、コンピュータ・プログラムや文書、索引など知的コンテンツを生み出す方法。「high」を超え、「transformational(革新的)」な影響を与える。すなわち、産業界全体にわたって新しい方法でビジネスを実践することを可能にし、産業界のダイナミクスを大きくシフトさせる。普及期は5年から10年先であろう。

●マッシュアップ インターネット上にあるさまざまなアプリケーション・モジュールを組み合わせて、所定のアプリケーションを実現する手法。2年以内に普及し、企業に「moderate」な影響を与える。既存の業務プロセスを段階的かつ大幅に改善し、売り上げ増加またはコスト削減を促進する。

 以上の4点は、ガートナーがいう「(個人)消費者先導型IT」(consumerization of IT)」の進展を示すものだ。ビジネスを変革するために、従来のエンタプライズITの中に、一連のコンシューマ向けITを取り込む必要性がますます高まっている。企業はそのための方法論を確立する必要がある。