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 参議院議員の通常選挙が始まった。投票日である7月29日の前日まで,候補者のアピール合戦が続く。7月22日には地方選挙もある。選挙が近づくと気分が悪くなる。「投票に行かなければ」と思うものの,投票しようにも候補者に関する情報がほとんどない。それならば「インターネットで検索」といきたいところだが,選挙に関する候補者の情報はない。こういったジレンマがいつもある。

候補者の情報入手先は

 候補者に関する情報を得る手段として,まず候補者が用意するビラやハガキがあるが,入手できるとは限らない。経験から言えば,ビラを目にすることはほとんどない。配る手間という問題もあるが,公職選挙法によって配布できる枚数が規定されており,その数は選挙区の有権者の数よりも少ない。もっとも“運よく”ビラやハガキを入手できたとしても,内容はスローガンのようなものを掲げている場合が多く,それだけで判断するのは心もとない。

 選挙管理委員会が発行する「選挙公報」はほぼ確実に入手可能な情報源である。新聞に挟み込まれて届くし,市役所や郵便局などでも入手できる。しかし,スペースの制約上仕方がないのだろうが,その内容はとても満足できるものではない。候補者の公約のようなものと経歴しか掲載されていない。

 駅前などでの演説は,勤務先が選挙区から離れている私にとって遠い存在である。選挙カーの相変わらずの候補者名連呼は論外である。残る政見放送。放送時間がわかりにくいうえ,録画しなければ見られない時間帯に放送されることが多い。

 ビラにしても選挙公報にしても,今度の選挙では多くの候補者が「年金は必ずお支払いする」とか「景気対策を推進」などと訴えるだろう。きれいごとを言われたたけでは選びようもない。「その実現手段は?」などまで言及してくれればいいのだが。

 Webサイト(ページ)を開設してある候補者もいる。選挙運動期間中は更新できないものの,思想や活動内容が掲載されていれば,それはそれで役に立つ。しかし,サイトなどがあったとしても,掲載されている情報が物足りないことも少なくない。

 例えが悪いが,「簡単なスペックしかわからないのに,製品を選ばなければならない」のが,いまの選挙である。

インターネットをフルに活用してほしい

 このような情報不足を低コストで解消できるのはインターネットであろう。現在,公職選挙法では選挙運動にインターネットを使うことを認めていない。選挙運動の手段を制限しているのは,財力のある候補者が有利になるのを抑え,なるべく平等な選挙を実現しようという考えからきている。配布できるビラやハガキなどに制限があるのも,このためである。候補者がお金持ちであっても,選挙運動にテレビを使うこともできない。

 選挙運動にインターネットを使えるように公職選挙法を改正しようという動きはあるものの,なかなか実現しない。「候補者になりすましてウソの情報を流したり,誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)が横行したりする」「政党によって有利になったり不利になったりする」「インターネットを使えない候補者あるいは有権者がいるため,平等ではない」などという懸念があるためだ。

 これらは無視するわけにはいかないが,解決,軽減できる問題である。問題を解決できなくても,インターネットを利用することのメリットのほうが大きいと思う。評論家・ジャーナリストである立花 隆氏の主張「ネットは解禁でなく義務化せよ」に同感である。

 Webサイトで候補者の公約や経歴(実績)を思う存分,掲載できるようにする。有権者は好きなときに見られる。演説などを収録し,オンデマンドで見られるようにすれば,もっと候補者に近づける。有権者が質問し,候補者が回答する仕組みを組み込めば,候補者への理解が深まる。

 選挙管理委員会のような公的な機関が運営すれば,「インターネットが使えない候補者」の不利にはならない。公約や実績など,掲載すべき情報の要件,フォーマットをある程度統一すれば,選挙時だけでなく,当選後の活動のチェックにも使える。現職議員には,公約などに対する活動や実績,それから自己評価を記入してもらうようにすれば,投票時の大きな判断材料となる。

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 もっと“顔が見えない”のが,衆議院議員総選挙の投票日に実施する最高裁判所裁判官国民審査である。最高裁判所の裁判官を罷免するかを国民が審査する制度であるが,判断するための情報がまったくといっていいほどない。「あの裁判で無罪とした裁判官に×をつけたい」と思っても,どの裁判官であるかは簡単にはわからない。そもそも,どのような裁判があったかすら,ほとんど知らない。国民審査制度自体の意義を疑問視する声もあるが,この制度を続けるならばこちらの情報公開も進めてほしい。