PR

 情報通信審議会の接続委員会は2007年7月10日,2008年度以降に適用するNTT東西地域会社の電話接続料(ほかの事業者が支払う加入電話設備の使用料)の算定方法を取りまとめた報告書の骨子案を公表した。今回の骨子案で委員会は,!)2008年度以降も,現行の長期増分費用(LRIC)方式で接続料を算定すること,!)2005年度から段階的に基本料収支に付け替えを進めているNTSコスト(通信量に関係なく発生する電話網設備の費用)の扱いを見直すこと,!)接続料を算定するに当たって採用する通信量の予測期間を,現行ルールのまま継続すること,!)NTT東西の接続料を従来通り同じ額にすること,!)今回見直す接続料算定方式を2010年度までの3年間適用すること,!)2009年度中に,LRIC方式以外の算定方式も含め新しい算定方式の在り方を検討すること――などを決めた。

 現行の接続料算定方式であるLRIC方式では,電話網のコスト算定モデルとして最も効率的な技術で構築した電話網を想定し,その構築費用を通話量(トラフィック)の実績値で割ることで算出する。ところが近年の固定電話網では,新規の設備投資が抑制されていることや,一部の設備をIP系サービスと共用することなどが進んでいる。このため,「算定モデルが想定するコストよりも,実際にかかった固定電話網の費用の方が安くなる逆転現象が生じている」という問題が指摘されていた。ただし骨子案では,「LRIC方式は,NTT東西の申告に依存する実際費用を採用する方式よりも,コスト構造の透明性,公平性が高く,継続して採用するメリットがある」と判断し,現行ルールを継続する方針を示した。

 骨子案の中でのNTSコストの扱いを巡っては現段階で,委員の間で意見が分かれている。2005年度から採用した現行の算定ルールでは,通信量に依存しない設備費用はNTT東西がユーザーに課す基本料収入の中で回収すべきという理由から,固定電話網の費用として接続料金に計上していた約3000億円のコストを,5年間をかけて段階的に基本料収支に付け替えることになっていた。これにより,通話量が減少するなかでも接続料を現行水準で維持することを目的としていた。

 しかし今回の骨子案では,電話回線数の減少による基本料収支が悪化していることや,山間部などの高コスト地域の伝送路などがNTSコストを押し上げる大きな要因であることなどが指摘された。このまま当初の予定通り,すべてのNTSコストを基本料収支の中から回収することにすると,付け替えられた分の多くが,NTT東西を含めた全事業者が拠出するユニバーサルサービス基金で回収される形となる。こうなると,最終的にユーザーが負担するユニバーサルサービス負担金が増えることや,事業者間の公正な競争条件に影響を与えるといった問題が出かねないと指摘した。

 その対策として骨子案では,2009年度に完了する予定だった接続料から基本料へのNTSコストの付け替えのペースを緩め,完了時期を先に延ばすか,NTSコストのうち高コスト地域で使われる設備費用の一部を再び接続料収入で賄う形に戻すといった提案をしている。ただしこの提案については委員から,「接続料で高コスト地域の負担をカバーすることにすれば,ユニバーサルサービス制度の考え方そのものにも影響を与える」といった意見が出され,今後,総務省が主催する「ユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会」との間で意見交換することなどが提案された。

 このほかの論点では,NTT東西の接続料を同じにとすることや,接続料算定に用いる通話量の予測範囲を従来と同様にするといった現行ルールの追認がされた。

 また,今回定める新算定方式を適用する期間については当初,NTSコストの付け替えが2009年度に終了することや,情報通信関連の制度が2010年をメドに抜本的に見直されることを踏まえて,2年間が適当としてきた。しかし,NTSコストの付け替えを見直すことや,LRIC方式の抜本的な見直しに十分な時間をかけるべきとの考えから,2010年度までの3年間適用することが適当とした。

 情通審では今後,接続委員会とユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会が合同で協議する場を設け,7月23日に開催予定の電気通信事業部会までに,報告書案を固める。電気通信事業部会への報告のあとに実施する報告書案に対する意見募集を踏まえて,審議を再開する予定である。