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ビデオ以外にも目を向けてほしいアプリケーションはあるか。

八巻 Windowsのファイル共有に利用するCIFS(common internet file system)プロトコルにはぜひ目を向けてほしい。

 CIFSは遅延の影響を受けてレスポンスが低下しやすい。大容量回線を契約してQoSを設定しても,遅延が足かせになってしまう。遅延の問題を克服できるWAN高速化装置を導入した方がよいかと頭を悩ませている。

 そこで一案だが,アプリケーションごとの特性に最適化したサービスをNGNで展開できないだろうか。遅延が大きくてもスループットが低下しにくい通信手順にサービス網側で変換するイメージだ。企業がこれを契約すればエンド・ツー・エンドでアプリケーションのレスポンスが高速になる。そんなサービスがあればぜひ使いたい。

谷口 同感だ。当社は独自運営する夜間取引市場システムのディザスタ・リカバリ対策のレスポンスを確保する目的でWAN高速化装置を使用している。しかし,実際に導入するまでには入念な検証が必要だった。NGNにアプリケーションのレスポンスを改善するサービス・メニューがあれば,導入効果を手軽に確認できそうだ。

NTTはNGNの網機能の一部をSNIと呼ぶインタフェースで開放する。例えば,回線のID情報を金融サービスのなりすまし対策に応用することはできないか。

谷口 回線のID情報だけでは難しい。金融機関にとって最も重要なのは本人認証だが,回線のID情報では世帯認証にとどまる。さらに個人を認証する仕組みが必要になる。

 例えば国が「NGN用ID」を発行し,特定の回線からNGN用IDでログインしたら本人と見なすといった制度ができたら,我々も検討する。

高品質・高信頼のサービスができたとして,どのくらいの料金を支払えるか。

吉村 現行の通信サービスの信頼性には確かに不満がある。しかし,通信事業者が「高品質サービスを作ったから今よりもお金をください」と主張しても,我々はすぐには納得できない。まず現行サービスの品質が,我々が支払っている対価に見合ったものかを確かめてほしい。通信事業者がIP網の運用ノウハウをさらに積めば,現行サービスにも品質改善の余地があると思う。

 その上で,現行よりも信頼性を高めたサービスが加わるなら歓迎する。新サービスが必要と判断した拠点には採用して相応の料金を支払う。

八巻 現在はエントリーVPNの信頼性を補う用途に広域イーサネットをバックアップに使っている。NGNのコストがエントリーVPNと広域イーサネットの組み合わせよりも安く済むなら,信頼性の高いNGNに移行する可能性は十分にある。あるいは,基幹系の業務は帯域を絞ってNGNに移行し,信頼性を必要としないデータはエントリーVPNで,という使い方も考えられる。

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通信事業者に望むことは。

谷口 まずNGNという名前を変えてほしい。電話会社としてやらなければいけないことを前面に押し出している印象を受ける。例えば「電話 2.0」でもよいから,ユーザーが「新しいサービスが使えそうだ」と感じるインパクトのある名前がよい。

 それに個人ユーザーはアプリケーションとネットワークがひも付いて初めて購買意欲がわく。個人にサービスを提供する当社も,まずは個人向けアプリケーションを見せてもらって初めてNGNを真剣に検討する。

吉村 すべての網をNGNに置き換えるなら,最近のフレッツや「ひかり電話」のような障害を起こさないように細心の注意を払って運用してほしい。

 QoSだけでなく,信頼性も複数のレベルで選べるようにしてほしい。エントリー・レベルから最上位まで多様な通信品質と信頼性のメニューがあれば,我々の責任で最適なものを選ぶ。

八巻 アプリケーションに最適化したエンド・ツー・エンドのサービスが欲しい。メニューを選ぶだけで最適なネットワークを作れると理想的だ。後は吉村さんの意見と重なるが,現行のサービスを維持しながら,優れたサービスを追加してほしい。

 現時点ではハイビジョンなどの映像系サービスや大容量といった言葉ばかりが先行している印象を受ける。通信事業者やメーカーがいろいろと取り組んでいるのは分かる。しかし,ユーザーがどうしたらいいのかという肝心な点が見えてこない。