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■中小ソフトハウスの経営者・経営陣の皆様に成長の壁を突破する方法をお話する第3回目は、経営者が成長決断するために必要な「夢」。しかし、どうやって考えればよいのでしょうか?

(長島 淳治=船井総合研究所 戦略コンサルティング部)



私が現場支援に入るとき、必ず検討して頂くポイントが「夢」です。一般的には「経営理念」「ビジョン」と呼ばれることが多いのですが、これは組織をまとめていくためにも、また経営者が成長する会社を創ると決断するためにも必要です。

しかし、これまで自分のために働いてきた経営者がほとんどです。会社を通して実現した大いなる理想なんてイメージが湧かない、という経営者がいらっしゃいます。そして悩みに悩んだあげく、こんな感じの言葉になります。

「お客様のために献身的に価値を提供し、社会全体に恒久的に貢献することを理想とし、社員が自律し常に変革を求め、技術革新を受け入れる会社」

それっぽいけど、この理想は恐らく浸透することはありません。
その理由は・・・。

夢は浸透することに意義がある

経営者が感じる心の壁を突破するために、経営者自身が真剣になれる夢を掲げることが大切だと、前回お話しました。しかし、夢なんて言ったって、どうすれば作れるのか、“?”マークばかりが頭の中に浮かんでくると思います。

それでもあえて考えて頂くと、先ほど例示したような文章が出てきます。これは間違っていないけれど、正しくないという矛盾をはらんでいます。

多くの経営者は、「経営者」という着物を着ています。その着物を着た状態で「経営理念」というキーワードを考えてもらうと、ほとんどの社長が『良いことを威厳たっぷりに表現しなければ』と考えます。

心ではもっと簡単に考えているのに、アウトプットされる表現は、小難しい内容と多くの漢字に支配されます。額縁に墨字で書くと映えるでしょうね、という内容になるのです。

しかし、この出来上がった言葉を一つ一つ噛み砕いて聞いていくと、実はこの言葉の奥に隠れている本質的な思いが明らかになります。

・好きな人の笑顔をたくさんみたい
・社員がやりがいを持って働く会社にしたい
・かかわる皆をHappyにしたい
・感謝・感動が伝わる会社にしたい

このように噛み砕いていくと、本当にシンプルで分かりやすい言葉が出てきます。実はそれが本音です。

ところが、社長という着物がその簡単な言葉を出すことに抵抗を示します。経営理念はもっと重たく威厳溢れるものだと決め付けているのです。

しかし、理念において大切なことは、経営者の本音がそこにしっかりと込められていること、そして今の社員がそれを聞いて共感できることです。

言葉は時代と共に変わっていきます。今のメール世代の若者にとって絵文字が日常であるのと同じで、昔は通用した言葉も今は意味が明確に伝わりません。シンプルで覚えやすく、社員がワクワクする、これが夢になるのです。

「笑顔の社員でかかわる人に幸せを提供しよう!」
こんなシンプルな言葉の方が心に残りませんか?

「夢」を生み出す発想法とは

成長するための重要な点ですが、中小企業の場合は経営者の特性や長所を経営者自身がしっかりと理解する必要があります。夢作りの第一歩目は、まずは“自分探し”から始まります。

船井総研では「理念研修」という仕事をします。これは経営者の生い立ちから今までの人生をヒアリングし、その内容を小冊子にして幹部社員の方に歴史を追体験して頂くというものです。

これをすると、実は経営者の性格や発想の原点が見えてきます。価値観とは過去の体験から形成されるものです。つまり過去の出来事を冷静に振り返ることで、自分の特性や長所が明確に分かってくるのです。自分史を簡単に書くことは第一歩目として重要です。

さらに自分を理解するために、こんな問い掛けをしてみて下さい。

・自分の性格的な長所は何ですか?
・自分が得意なことは何ですか?
・自分が信条としていることは何ですか?
・これまでに楽しかったこと、のめり込んだことは何ですか?
・やっていて飽きないこと、苦にならないことは何ですか?

自分史とこの質問に答えることで、経営者自身の特性が分かります。ただ、最後の質問にゴルフと書いたとして、それではゴルフを事業にするか、と短絡的な発想をしてはいけません。なぜゴルフが好きなのか、ゴルフのどんな要素が自分を熱中させるのか、その本質を考えることが大切です。

その本質的な部分(例えばゴルフであれば、コースを戦略的にとらえて、スコアをまとめていくことが好き、など)を生かして、自分の会社での夢を描くとしたら、どんな夢を描くだろうかと考えるのです。

自分の特性・長所を生かすことでしか会社は成長しません。夢は経営者自身が動機付けられ、ワクワクするものでなければいけないのです。

次回は、ビジョンの描き方についてお話させていただきます。


著者プロフィール
1998年、桃山学院大学経営学部卒業。某大手SIerでの営業を経て、船井総合研究所に入社。以来、年商30億円未満のソフトハウスを専門にコンサルティング活動を行う。「経営者を元気にする」をモットーに経営計画作り、マーケティング支援、組織活性化のため全国を飛び回っている。毎週1回メルマガ『ソフトハウスのための幸福経営論』を発行。無料小冊子『ソフトハウスが元気になる30の法則!』も発刊。