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正解:2
 Windows Server 2003に付属する「NTBackup」ユーティリティを使うと,サーバー上のファイルのほか,レジストリやブート・ファイルなどの「システム状態データ」をバックアップできる(図1)。

図1●NTBackupツール
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 NTBackupは,ファイルをバックアップする際に,ファイルの「アーカイブ属性」という情報を参照して,ファイルをバックアップするかどうかを選択している。ファイルの「アーカイブ属性」とは「バックアップが必要なファイルか否かを判断する上での印」であり,一般にファイルを新規作成したり変更したりした際に有効になり,バックアップした際にクリアされる(バックアップ済みとしてマークする)。

 NTBackupによるバックアップには様々な種類がある(図2)。全ファイルをバックアップするものもあれば,アーカイブ属性のあるファイルだけをバックアップするものがある。また,バックアップ終了後にアーカイブ属性をクリアするものとしないものも存在する。各バックアップの種類をまとめてみよう。

図2●バックアップ種類の選択画面
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・コピー・バックアップ
 選択されたすべてのファイルをバックアップ対象とする。バックアップ後は,バックアップを取ったファイルのアーカイブ属性をクリアしない(バックアップ済みとしてマークしない)。

・通常バックアップ
 選択されたすべてのファイルをバックアップ対象とする。バックアップ後はバックアップを取ったファイルのアーカイブ属性をクリアする(バックアップ済みとしてマークする)。

・差分バックアップ
 アーカイブ属性がつけられたファイル,つまり最後に「通常」または「増分」バックアップを実行した後に作成または変更されたファイルをバックアップ対象とする(図3)。バックアップ後はバックアップを取ったファイルのアーカイブ属性をクリアしない(バックアップ済みとしてマークしない)。

図3●差分バックアップの仕組み
通常バックアップの後に作成された全ファイルを毎回バックアップするのが「差分バックアップ」である。

 通常バックアップと差分バックアップを組み合わせて実行する場合,データを復元するには,通常バックアップ・セットと最後の差分バックアップ・セットで最新の状態に復元できる。しかし,通常バックアップから日を追うに従ってバックアップ対象となるファイルは多くなるため,バックアップに必要な時間は長くなる。

 また,バックアップに必要なメディアは,通常バックアップ用と日々の差分バックアップ用の2つですむ。

・増分バックアップ
 アーカイブ属性がつけられたファイル,つまり最後に通常または増分バックアップを実行した後に作成または変更されたファイルをバックアップ対象とする(図4)。バックアップ後は,バックアップを取ったファイルのアーカイブ属性をクリアする(バックアップ済みとしてマークする)。

図4●増分バックアップの仕組み
前回行われたバックアップの後に作成・変更されたファイルのみバックアップするのが,増分バックアップである。

 通常バックアップと増分バックアップを組み合わせて使用する場合,データを復元するには,通常バックアップ・セットと,すべての増分バックアップ・セットが必要になる。このシナリオでは,例えば木曜日の状態に復元するためには,日曜日に取得した通常バックアップ・セットに加えて,月~木曜日に取得した4つの増分バックアップ・セットが必要となり,復元の手間と時間がかかる。一方,このシナリオでは月曜から土曜のバックアップに必要な時間は短くてすむ。

 バックアップに必要なメディアは,通常バックアップ用と日々の増分バックアップ用で,このシナリオでは7つ必要である。

・毎日バックアップ
 バックアップ実行日に作成,変更されたファイルをバックアップ対象とする。バックアップ後はバックアップを取ったファイルのアーカイブ属性をクリアしない(バックアップ済みとしてマークしない)。

 設問にあるシナリオの要件を満たすには,日曜に「通常」バックアップを実施し,月曜から土曜に「差分」バックアップを実施するよう計画する。よって答えは(2)となる。

 (1)のように,すべての日において「毎日」バックアップを実施すると,復元するためには,初回に実施したバックアップに加えて,それまでに実行したすべての日のバックアップが必要となるので最短とはいえない。そのため(1)は誤りである。

 (3)のように,日曜に「通常」バックアップを実施し,月曜から土曜に「増分」バックアップを実施すると,復元するためには通常バックアップのセットと月曜から土曜すべての日の増分バックアップ・セットが必要となるので最短とはいえない。そのため(3)は誤りである。

 (4)のように,日曜に「コピー」バックアップを実施し,月曜から土曜に「増分」バックアップを実施すると,復元するためにはコピー・バックアップのセットと,月曜から土曜すべての日の増分バックアップ・セットが必要となるので最短とはいえない。そのため(4)は誤りである。

 サーバーのハード,ソフトの障害対策のほか,地震や台風やテロなどの災害に備えてバックアップの計画を立てることはシステム管理者の役割のひとつである。バックアップの特性を把握のうえ,ぜひ実施してほしい。


片岡 正枝=グローバルナレッジネットワーク