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マイクロソフトのスマートフォン向け新OS「Windows Mobile 6」(WM6)を搭載した端末が今夏より登場する。従来バージョンからの大幅な変更点はないが,メール機能の改善やWebブラウザの機能強化など,細かな使い勝手を向上することによって,よりパソコンに近い操作性を実現している。

 マイクロソフトのスマートフォン向けOS「Windows Mobile」(WM)が,5から6へとメジャー・バージョンアップした。WM6の主な強化点は,(1)インターネット接続機能の強化,(2)企業ユーザー向け機能の拡充,(3)メール機能の強化--の3点である(図1)。それでも,従来バージョンであるWindows Mobile 5(WM5)から大きく変わった点は少なく,既にWM6発表前に追加アプリケーションで実現された機能も多い。ただし,細かな改良によって使い勝手は向上している。

図1●Windows Mobile 6の強化ポイント
図1●Windows Mobile 6の強化ポイント
メールやネット機能の強化,セキュリティ機能の向上が図られている。レビューにおいてはウィルコムのWM6搭載端末「Advanced/W-ZERO3[es]」を試用した。

 例えばインターネットの接続については,高解像度表示やWebブラウザのAjax(asynchronous JavaScript+XML)サポートの強化によって,操作感はパソコンに近づいた。また,WM6搭載機をリモートにある別のWindowsマシンに接続し,あたかもシン・クライアントのように操作するリモートデスクトップ機能や,メモリーカード内のデータの暗号化機能が追加された。これらは,企業ユーザーが業務システムの一部にWM6搭載機を組み込みやすくするものといえる。

 日経コミュニケーションは,ウィルコムが7月19日に発売する予定のWM6搭載機「Advanced/W-ZERO3[es]」(シャープ製)を試用する機会を得た。今号は,WM6搭載機の操作感や使い勝手について報告する。

WVGA対応でWeb見やすく

 実機に触れてまず気がつくのは,これまで日本で発売済みのWM5搭載機に比べてディスプレイ内に表示される情報量が格段に増えたことだ。WM6から新たにWVGA(480×800ドット)の高解像度表示に対応した恩恵である。高解像度表示はハードウェア側での対応も必要となるが,Advanced/W-ZERO3[es]は3型のWVGA対応液晶を搭載するため,ブラウザを操作していてもパソコンとほとんど変わらないレイアウトでWebページを表示できる(写真1)。

写真1●高解像度表示に対応
写真1●高解像度表示に対応
新たにWVGA(480×800ドット)表示に対応。IE MobileにはWVGA表示に最適化された「高解像度を使用」メニューがある。

 WM6が標準搭載するブラウザであるInternet Explorer(IE) Mobileを使ってみると,あたかもパソコンを使うように操作できる。例えば,IE Mobileを起動すると開くデフォルト・ページ(ローカル・ファイル)にはJavaScriptが使われているので,お気に入りや履歴を選択するとJavaScriptが動作してそれぞれの内容を画面表示する。

 JavaScript対応はWM5でも実現できていたが,WM6ではAjax機能が強化され,扱えるメソッドが増えた。参考までにサーバー上のXMLファイルを呼び出すAjaxプログラムを作成して動かしてみたが,意図した通りに動作した。

 もっともすべてのAjax利用サイトをIE Mobileで利用できるわけではない。例えばAjaxで検索語の候補をリアルタイム表示する米グーグルの「Google Suggest」は正しく動かなかった。

 なお,従来のW-ZERO3向けに無償公開されているブラウザ「Opera 8.6」や,Advanced/W-ZERO3[es]にプリインストールされている「Opera 8.7」でアクセスすると,Google Suggestは正しく動作した。

Windows Live機能を標準搭載

 使い勝手の面で印象深かったのは,Windows Liveサービスだ。パソコンで使っているWindows LiveサービスのアカウントでWM6のアプリケーションにログインすると,「Today」画面にメッセンジャーが表示され,どのユーザーがオンライン状態かを一目で確認できる。アドレス帳との連携やファイルの送受信に対応するなど,パソコン版に近い機能が実現されていた。

 WM5搭載の従来のW-ZERO3シリーズでも,マイクロソフトのWebサイトで無償公開されているプログラムを追加インストールすることでWindows Liveサービスを使用できる。試してみたが,機能と使い勝手はWM6搭載のアプリケーションとほぼ同じだった。

 企業ユーザーに役立ちそうな機能としては,リモートデスクトップがある。WM5では英語版の同等製品を使うしかなかったが,WM6は日本語版のリモートデスクトップを標準搭載する。

 試しにAdvanced/W-ZERO3[es]からWindows XP搭載パソコンにログインしてみたところ,ディスプレイ内にパソコンとほぼ変わらないデスクトップ画面が現れた(写真2)。音も端末にきちんと転送される。

写真2●WM6端末でパソコン上のアプリを操作できる
写真2●WM6端末でパソコン上のアプリを操作できる
リモートデスクトップ機能を標準搭載する。Windows XP搭載パソコンに接続してリモートデスクトップ機能を活用すると,シン・クライアントのように使える。

 もっとも液晶サイズが小型のまま解像度が上がっているため,接続するマシンが高解像度表示になっている場合は,スタイラスでデスクトップのウィンドウを選択するのが難しくなることもある。その場合は,解像度をWM6機側で見やすいレベルに落とす設定で使うのがいいだろう。なおソフトバンクモバイルが7月下旬に発売予定のWM6搭載機「X02HT」(台湾HTC製)はタッチ・スクリーン式ではないため,リモートデスクトップ機能は搭載していない。

パスワードの有効期限の強制適用も

 今回,試すことはできなかったが,マイクロソフトのメール・サーバー「Exchange Server 2007」との連携機能も強化された。例えば,Exchange Server 2007で指定したパスワードの有効期限を強制的にWM6に適用できるようになった。これは,WM5が備えていた「ActiveSync機能」がWM6で強化されたことによる(図2)。

図2●WM6では,厳しいセキュリティ・ポリシーを端末に対して強制的に適用したり,メール・サーバーとの多彩な連携が可能になった
図2●WM6では,厳しいセキュリティ・ポリシーを端末に対して強制的に適用したり,メール・サーバーとの多彩な連携が可能になった

 Exchange Server 2007との連携では,メールボックスの検索機能も追加された。WM6では,Exchange Server 2007の検索エンジンを使ってメールボックス全体を検索できるようになった。また文書共有に関しては,SharePointサイトやWindowsのファイル共有環境にあるファイルをWM6に読み出したい場合,Exchange Server 2007を介してアクセスできるようになっている。