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自由に考えられる人間を何人抱えているか

 本日は「答えのない世界」を生き抜く鉄則を話すように、と言われています。それには、すべての人が同じルールでいくのではなくて、少なくとも何人かは自由に発想するようにしないといけない。すなわち、答えのない世界というものに対して、恐れを持たずに自由に考えられる人間を何人抱えているか。これが企業にとって生存のカギとなります。

 さっきのアスクルでいえば、中途採用の岩田さんがいなかったら、プラスやアスクルは今ごろどうなっていたかということですね。そういう異なった発想ができる人、年代が違う人、性別も違う人、それから国籍、国も違う人が大事です。例えばグーグル、ユーチューブ、ミクシィといった企業を見ると創業者は必ずしも母国人ではない。グーグル創業者の一人、セルゲイ・ブリンさんはロシアの移民の子です。ユーチューブの場合は中国人。ミクシィもそうで、日本人ではない創業者が一人入っています。こういった異種混合ワクチンみたいな組み合わせが必要です。

 これはなぜか。同じ発想の人が車座になって知恵を出すというのが、改善型経営、まさに日本型経営の一番よかったところなんですけれども、今それでは追いつかない。はちゃめちゃな発想をする人も入れないといけない。ところが今までは、はちゃめちゃな発想をする人は、沈まぬ太陽ナイロビ支店長、という世界に行かされてしまうわけです。あるいは留萌支店長とか。留萌の人がいたらごめんなさい、ただ、今まではそういうことになりがちでした。これからは従来とまったく違う発想のできる人がいないとダメです。感性の違う人がいないとダメです。

 4月に大学から人を採って、それで「さあ、みなさん」と一斉に教育しますよね。これを止めなければダメです。更地で無地の新人に、中間管理層の人が昔のやり方を教えているんですから、こんなに怖いことはないですね。携帯電話一つとってください、携帯の使い方は新入社員の方が絶対によく知っているはずです。携帯でほとんどのことが今、分かる時代でしょう、携帯でもグーグルが使えるし、携帯が財布になり、GPS(全地球測位システム)とつながって自動車の鍵にもなっていく。こうした携帯のことを考えただけで、商売の種というのはものすごくたくさんあるわけです。

 ところが、携帯のことを移動電話なんて呼んでいるようでは、とてもじゃないけどダメですね。カメラを取り込んだ移動電話なんて言ったらとんでもないです。今の携帯は500以上の機能がありますから。そうした機能がこれから物流につながってくるかもしれないし、財布につながってくるかもしれないし、自動車につながってくるかもしれないし、あるいは介護にもつながってくるかもしれない。もの凄い可能性がある。あれが私がいう“デジタル新大陸”のかなりの部分を示しているわけです。

 こういうことの発想を取り入れようとしても、従来の秩序、ピラミッド組織の中からはまず出てこないと思います。上の方の人は、携帯を染色体の中に入れてないですから。日本は世界で一番進んだ携帯のアプリケーションを持っていますが、それを使う側に大きな問題があるわけです。