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 第1回で紹介した富士通や新日鉄ソリューションズのサービスのほかにも,仮想化技術を使った“リソース・オンデマンド”のサービスが相次いで登場している。両社のサービスのように,自動的にリソースを調達する仕組みを備えたり,運用保守まで請け負ったりする手厚さはないものの,利用料金が安価で,手軽に導入できることが特徴。主にインターネット向けのWebサーバーを運用する企業をターゲットにしたサービスである。

 特に利用企業が増えているのが,ユーザーごとに仮想サーバーを割り当て,その上でアプリケーションを動作させる「VPS(仮想プライベート・サーバー)サービス」だ。ここへきて,クララオンラインやGMOインターネットといったホスティング大手がサービスを開始。国内だけでも,大小合わせて数十のサービス事業者がサービスを提供している。1台のサーバーを複数のユーザーで共有する,従来の「共有型ホスティング・サービス」の発展形として,普及の兆しを見せている。

 前回紹介した富士通や新日鉄ソリューションズのサービスでは,1台の仮想サーバーあたりの処理能力やディスク容量をオンデマンド方式で提供する。これに対してVPSサービスの多くは,1台の仮想サーバーあたりの処理能力やディスク容量の割り当てが固定であり,不足する処理能力は仮想サーバーを複数起動することで調達する仕組みである。こうした制約を設ける代わりに,料金を安価に設定してユーザー企業が導入しやすくしている。

高負荷には仮想サーバーの追加で対応

 ユーザー企業にとって,VPSサービスを利用するメリットは大きく3つある。

 1つめは,メモリー上やディスク上のデータが仮想サーバーごとに分かれているため,共有型ホスティング・サービスに比べて,セキュリティ面の不安が小さいこと。2つめは,仮想化技術を使って論理的に複数のサーバーを動かしているものの,実態としては1台のサーバーを複数のユーザー企業が共有する方式であるため,料金が安いことである。

 3つめは,高負荷への対応が容易なことだ。VPSサービスは仮想化技術を利用しているためハードウエアへの依存度が低い。そのため,運用中の仮想サーバーの負荷が高まったら,全く同じ構成の仮想サーバーを,ソフトウエアの操作だけで立ち上げることができる(図3)。物理的にサーバーを追加する場合と同様,事業者への申し込みの手続きは必要だが,ミドルウエアやアプリケーションを新たに導入したり設定したりする手間がかからない。

図3●仮想化ソフトを利用したホスティング・サービスのシステム概要
図3●仮想化ソフトを利用したホスティング・サービスのシステム概要

自動的に仮想サーバーを増減できるサービスも

 仮想サーバーを追加利用するたびに申し込みの手続きを行う手間をなくし,負荷分散用の仮想サーバーの起動を自動化するサービスも登場している。ベンチャー企業のHoster-JPが提供する「グリッドホスティング」だ。このサービスでは標準で仮想サーバーを2台利用でき,運用中の仮想サーバーの負荷が高まると,最大8台の仮想サーバーを自動的に起動できる。つまり,負荷に応じて2台~10台の仮想サーバーを稼働できる。

 しかも,負荷に応じて仮想サーバーを増やすだけでなく減らすこともできる。負荷が低下すると,必要ない仮想サーバーを自動的にシャットダウンする。Hoster-JPは現状のグリッドホスティングをベータ版と位置付けているが,2007年秋に正式サービスを開始する予定である。

 海外でも,仮想化技術を利用して“リソース・オンデマンド”のITインフラ・サービスを提供する動きが活発化している。なかでも力を入れているのが,意外にもECサイトで知られる米アマゾンである。次回はその動きを探る。