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米オラクルは1月31日(米国時間)、ERPパッケージ(統合業務パッケージ)など5種類の新製品を一気に発表した。旧ピープルソフト製品の機能を他のERPに移植するなどした。ただ既存ユーザーからはバージョンアップの障壁が高まるとの声が出ている。

 米オラクルでアプリケーション事業を担当するジョン・ウーキー上級副社長は、「多くの企業を買収して製品が増えた結果、すべてを開発し続けることができるのかと指摘されてきた。我々は、これが可能だということを示せたのではないか」と話す。

 オラクルは今回の発表で、業務アプリケーションの主力であるERPパッケージとCRM(顧客関係管理)ソフトを一新した。もともと自社で開発していた Oracle E-Business Suite(EBS)に2443カ所の機能強化を施しただけでなく、05年1月に買収した旧ピープルソフトの3製品や06年1月に買収した旧シーベル・システムズ製品についても、291~1478カ所の機能を強化したという()。

表●2月1日に発表されたオラクルの業務アプリケーション製品の概要
表●2月1日に発表されたオラクルの業務アプリケーション製品の概要
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 オラクルは2008年に、買収した既存のアプリケーション製品群を統合した新製品の『Oracle Fusion Applications』を提供するが、その後も買収したソフトを制限なしに機能強化する、「Applications Unlimited」という方針を06年に発表している。今回の発表はこれを守ったものといえる。

 ただ同社は、やみくもにすべての製品の機能を強化しているわけではない。ERPパッケージの分野では、操作性の高さで定評のあった旧ピープルソフト製品の機能を、他の製品に移植し始めたことが分かる。

 大企業向けの主力製品であるEBSの新版は、旧ピープルソフトの外観と使い勝手を全面採用。ウーキー上級副社長は、「PeopleSoft Enterpriseの要素を、EBSに追加した数百の業務フローにも反映した」という。中堅・中小企業向けにも、やはり旧ピープル系であるJD Edwardsブランドの二つのERPパッケージを主力に据える。

 これは既存製品の機能強化にとどまらない。今回、オラクルが発表した機能の多くは、「基本的にFusion Applicationsで踏襲する」(日本オラクルの大本修嗣アプリケーションマーケティング本部 ERM/SCMビジネス推進部ディレクター)からだ。

 ただし国内のユーザー企業のとらえ方は異なる。

 世界6大陸で同時中継された発表会の席上、招かれていた国内企業が、ウーキー上級副社長に対して、「EBSは多くのアドオン開発を施しているケースが多い。他の製品の機能を取り入れた新製品にバージョンアップする場合、どういった支援策があるのか」と質問したが、米オラクルから明確な回答は示されなかった。また5種類の新製品のうち、現時点で国内での提供時期が明確なのはJD Edwardsブランドの一つだけである。

 日本オラクルは既存ユーザーの不安を早急に解消する必要があるのではないか。