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写真●普及キャンペーン開始を発表 Dpaの間部理事長(右から4人目)と総務省の小笠原・情報通信政策局長(同5人目) [画像のクリックで拡大表示] |
デジタル放送推進協会(Dpa)は2007年7月24日,地上デジタル放送の新たな普及推進活動に関する発表会を開催した(写真)。2011年7月24日に地上波放送は,アナログ方式からデジタル方式に完全移行する。Dpaはその期限のちょうど4年前に当たる同日に,今後の地上デジタル放送の普及策を発表した。
Dpaの新たな取り組みは二つある。一つ目は,総務省などと共同で行うキャラバンカーを使った地上デジタル放送の普及キャンペーンである。二つ目は地上デジタル放送に対する視聴者の理解を深めることを目的にした新たなテレビCMの放送だ。
地上デジタル放送を体感できる環境を提供
普及キャンペーンでは,キャラバンカーを使って全国の視聴者に地上デジタル放送を体感してもらう。キャラバンカーにはデジタルテレビを積み込み,各地の視聴者がHDTV(ハイビジョン)放送やデータ放送といった地上デジタル放送ならではのサービスを体験できるようにする。また,UHFアンテナや携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」端末など,地上デジタル放送の関連機器も展示する。このキャラバンカーはステージにもなっており,地上デジタル放送事業者各社のアナウンサーで組織する「地デジ推進大使」などが,地上デジタル放送に関するプレゼンテーションを行う予定だ。Dpaは2007年7月20日にこのキャンペーンを開始しており,「デジタル放送の日」である12月1日までに,全国の約40会場でキャンペーンを開催する予定だ。
またDpaは今回の発表会で,地上デジタル放送の理解を深めるための新たなテレビCM(2種類)を紹介した。地上波放送をアナログ形式からデジタル形式に切り替える理由や,地上デジタル放送の普及が進んでいることをアピールする内容である。NHKと全国127社の民放事業者はDpaの要請に応じて,これらのCMの放送を2007年7月24日に開始した。従来のCM(1種類)も含めて,1社当たり年間1000回程度放送する方針である。
Dpaは今回の普及促進キャンペーンによって,地上デジタル放送に対する国民の理解を深めることを狙っている。ただ,このキャンペーンによって,地上波放送の完全デジタル化に伴って発生するすべての課題を解決できるわけではない。例えば,2011年7月24日までにデジタルテレビや外付けチューナーといった地上デジタル放送受信機の普及率を100%にするという問題がある。また地上デジタル放送の受信にはUHFアンテナが必要だが,関東・中京・近畿の三大広域圏における地上波事業者がVHF帯の周波数を使用して地上アナログ放送を提供している地域では,UHFアンテナの普及が進んでいない。こうした地域のVHFアンテナをUHFアンテナに交換する対策が不可欠である。さらに地上波放送の完全デジタル化によって「廃棄物」となるアナログテレビを,どのようにして処理するかという問題もある。アナログテレビの廃棄物処理問題も,Dpaが取り組むべき重要な課題である。