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 「ドキュメントは,納品する最新バージョンのドキュメントだけ残せばいい」――。あなたは,そう考えてはいないだろうか。

 確かに,2001年のアジャイル開発宣言には,「ドキュメントよりも動作するソフトウエアを重視する」という項目がある。この宣言を真に受けているわけではないだろうが,「委託先に納品する最終ドキュメントだけを残し,そこに至るバージョンまでを維持・管理している開発現場は非常に少ない」(日本IBM 東京基礎研究所 IBMディスティングイッシュト・エンジニア 榊原彰氏)。

 多くの開発現場では,ソースコードの構成管理は行っている。しかし,ドキュメントの構成管理までは行っていないことが多い。同じことは,テスト・シナリオやテスト・データにも当てはまる。プロジェクトが短納期化するなか,ドキュメントやテストの構成管理まで実施する余裕がないからだろう。

 だが,アーキテクチャ説明書や議事録など納品しない中間成果物を含むドキュメントのバージョン管理は極めて大切である。

 その理由は「古いバージョンのドキュメントが残っていると,なぜこんなアーキテクチャになったのか,なぜこんな仕様に変更したのかといったプロジェクト途中の『意思決定』の理由が分かるので,稼働後の保守性が良くなる」(TIS 基盤技術センター エキスパート 熊谷宏樹氏)ためだ。「特に開発の様々な場面の『背景』を知るために,納品しない中間成果物のバージョン管理は非常に重要」(同)。

 保守開発の増加に伴い,ドキュメントの重要性は高まるばかりだ。もちろん手作業では多くの手間がかかるため,構成管理ツールを使うなどして,納品する成果物および中間成果物を,古いバージョンまで含めて維持・管理する仕組みをぜひ構築したい。