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 「サービスとしてのソフトウエア(SaaS)」の未来はどのようなものなのか,そして,それはSQL Serverコミュニティにどういう影響を与えるのだろうか?

 MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は先日, Microsoft Worldwide Partner Conferenceの基調講演で,以下のような感想を述べた。Partner Conferenceはいわば,Microsoft Solution Providerプログラムのビジネス・パーソン向けの「TechEd」である。

 「私たちの業界にいる人間は皆,ソフトウエアとサービスの関係について考えを改めているところだ。私たちは,ソフトウエアとサービスの組み合わせには未来があると信じている。この組み合わせは,カスタマにより多くの選択肢を提供し,パートナに素晴らしい機会を創出するからだ。Microsoftはパートナと協力して,この動きを先導する立場にある」(Ballmer氏)。MicrosoftのSaaS計画に関する基調講演で,Ballmer氏が語った興味深いこぼれ話に関心のある方はこちらのURLにアクセスするといい

 他の多くのソフトウエア・ベンダーと同様に,Microsoftもかなり前からSaaSを話題に取り上げている。筆者の記憶では,Microsoftが最初に「サービスとしてのソフトウエア」といった言葉を使い始めたときは,ソフトウエア・サブスクリプションの販売(例えば,「Microsoft Software Assurance」プログラム)という概念が中心にあった。当時そうした言葉が意味していたのは,Microsoftにとってより多額の予測しやすいライセンシング収益を生み出す,ライセンシング・モデル上の変更にしか過ぎなかった。

 今日,Microsoftは以前よりも大胆に“本物”のSaaSモデルに挑戦している。Microsoft Dynamics CRM Liveの計画がそのいい例だ。Dynamics CRM Liveについてもっと詳しく知りたい方は,同社のWebサイトの「Microsoft Announces Continued CRM Momentum and Outlines Roadmap for New Microsoft Dynamics CRM Live Service(CRMの勢いの継続を発表し,新しいMicrosoft Dynamics CRM Live Serviceのロードマップの概略を示したMicrosoft)」という記事を参照していただきたい。

 ホスティング・バージョンのソフトウエアを提供するというMicrosoftの計画は,Dynamics CRM Liveに限定されたものではない。しかし,筆者はいくつかの理由から「Dynamics CRM Live」製品群に興味を引かれた。

 第一に,Dynamics CRM Liveはレポーティングやビジネス・インテリジェンス(BI)の世界と強いつながりのある,データ中心のソリューションである。筆者は,米Solid Quality Mentorsで自分のチームのために,「Microsoft CRM」ソリューションの設計と展開を先頭に立って行うという,興味深い仕事を任された。筆者は一方で,ホスティングされたソリューションを選ぼうという気になっている。CRMの管理と展開は筆者のビジネスに利益をもたらさないからだ。他方では,CRMの管理と展開は筆者のビジネスに利益をもたらさないものの,CRMを思い通りに機能させることは,筆者のビジネスにとって重要だとも考えた。

 ホスティング・サービスという概念に興味を引かれて,それを使ってみようという気になっている企業はたくさんあるが,それと同時に,ホスティング・ソリューションでは自分たちのニーズを満たせないのではないかと不安に思っている企業はたくさんある,と筆者は考えている。

 ホスティング・プロバイダは信用しても大丈夫なのだろうか? 筆者のビジネスについて,自分ほど気にかけていないホスティング・プロバイダに,自分自身をさらし続けても大丈夫だろうか? それによって,筆者のCRMソリューションのサービスと品質の水準が全体的に下がることはないのだろうか? -- おそらく多くの企業が,このような決断に迫られて悩んでいることと思う。ホスティング・ソリューションが最善の選択肢のときもあれば,ホスティング・ソリューションが適切でないときもあるだろう。現時点では,どちらが良いのか決断するのは難しい。

 筆者は記事の冒頭に,「サービスとしてのソフトウエア(SaaS)の未来はどのようなものなのか,そして,それはSQL Serverコミュニティにどういう影響を与えるのだろうか?」と書いた。率直に言って,筆者には答えがわからない。だが現在,より多くのホスティング・ソリューションを求める需要は存在しており,Microsoftやその他のグローバルなソフトウエア企業は積極的にこの市場に力を注ぐだろう。Microsoftや他のソフトウエア・ベンダーは,SaaSの分野に進出してしばらくの間,おそらく多くの過ちを犯すが,彼らはすぐにSaaS市場にすでに参入している小規模,中規模,大規模のベンダーを脅かす存在になるだろう。

 このトレンドがいつまで続くのか,筆者にはわからない。今日,ホスティングされたCRMが存在するが,将来的にMicrosoftが年中無休のリモートDBAをSaaSとして提供する可能性はあるのだろうか? Microsoftは通常,パートナの領域を侵すことを避けようとする。だが,市場が十分に成長,あるいは自分にとって有利になると,Microsoftはパートナの領域に踏み入って,パートナがMicrosoftのソリューション・プロバイダのエコ・システム(生態系)の中で別の場所に移行するのを「助ける」こともある。

 SaaSが今年の線香花火的な流行語の一つなのか,あるいはMicrosoftや他の大手のソフトウエア・ベンダーが目指す先にあるものなのか,筆者には確信が持てない。この先,市場の力によってSaaSがどのように進化するのかが見ものである。企業の重役としての筆者は,筆者が今日下している決断が正しいことを願っている。