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 Microsoftは先日,Windows Server 2008とSQL Server 2008,Visual Studio 2008を2008年の2月後半に同時に「リリース」すると発表して,ITの世界に小さな話題を提供した。もちろんこの場合,「リリース」という言葉は,これら三つの製品のリリースを祝う機会を表しているに過ぎない。これらの製品は,実際にはカスタマ向けに同時にリリースされるわけではないのだから。Visual Studio 2008は2007年中,SQL Server 2008は2008年の第2四半期に,それぞれ出荷される予定になっている。2008年2月に出荷されるのは,Windows Server 2008だけなのだ。

 確かに,これは大して重要なことではない。だが,自社の企業向け新製品でちょっとした騒ぎを起こそうという,Microsoftの見当違いの試みは,同社のもっと大きな問題を象徴しているようにも思える。

 同社は,これまでのところ失敗に終わっているXbox 360やZuneといった,企業カスタマには全く関係のないサイド・プロジェクトに,少なからず没頭しているようである。だが,こうしたサイド・プロジェクトの一つであるMicrosoftの「LIVEサービス」は,2005年後半に同社がOffice Liveの計画を発表して以来,企業にも若干関係のある存在になりつつある。長く待たれていた方向性の変化が最近になってようやく実現したことで,LIVEは今後数年間で,あらゆる場所のMicrosoftショップに広がるだろう。つまり,読者の皆さんも,このソフトウエア業界の巨人との関係を徹底的に見直す必要に迫られるかもしれないのだ。

 今日,LIVEはいくつかのコア・コンポーネントで構成されている。

 最初のサービスであるXbox Liveは,Microsoftのビデオ・ゲーム・カスタマを対象としており,先日,関連する「Games for Windows LIVE」サービスが追加された。「Games for Windows LIVE」は,Xbox 360の強力なオンライン・サービスのサブセットをWindowsゲーマーにもたらすサービスだ。

 Office Liveは,個人や小規模企業を対象とするサブスクリプション・サービスのセットで,WebホスティングやHotmailベースの電子メール,ドキュメントの共有,その他の同様の機能を提供する。

 Windows Liveは,これまでのところ消費者のみを対象としており,HotmailやLive Search,MSN Spaces(ブログ)からWindows Messenger(インスタント・メッセンジャー),OneCare(PCのセキュリティとメンテナンス),Windows Live Mail(クライアント電子メール・アクセス)まで,幅広い製品とサービスを含んでいる。

 Windows LiveやOffice Liveは,そのブランド名にもかかわらず,Microsoftの似たような名前の主要なソフトウエア製品群とは,これまでほとんど関係がなかった。しかし,そうした状況は一変しようとしている。

 GoogleやYahoo,そしてほとんどの人が名前も知らないような小規模で機を見るに敏な新興企業が,PCベースの主要機能のWebへの移行を進めていたにもかかわらず,Microsoftはこの流れに抵抗し,WindowsやOffice,Windows Serverといった過去の大きな成功例を中心とする戦略に固執していた。その結果,Microsoftは周りに取り残されて,第2のIBM,つまり「相変わらず巨大で利益を上げてはいるが,革新を永遠に放棄してしまった企業」とみなされる危険にさらされた。

 このソフトウエア業界の巨人は,明らかにそうした事態を避けようとしている。同社は今月,主要な機能を適宜Webに移す計画について,ようやく詳しく説明し始めたのだ。同社は将来的に,従来のソフトウエア・パッケージだけでなく,企業向けの機能についても,Webサービス経由で提供する考えがあるようだ。もちろん,移行には何年もかかるだろう。そして,この素晴らしい新世界で確固たる地位を築くまでに,間違いなくMicrosoftは何度かつまずくだろう。

 だが,この移行はMicrosoftだけでなく,カスタマにとっても同様に重要なのだ。電子メールやドキュメント,ボイスメール,その他の重要データに,自分が好きなときに,好きなデバイスからアクセスしたいというカスタマの要求は,日増しに強くなっている。Gates会長! WindowsとOfficeの間にある壁を叩き壊すときが遂に来たようだ。

 Microsoftの進化戦略は,「ソフトウエア+サービス」と呼ばれている。この名称は,別の会社に変身する過程においても,WindowsやOffice,その他の従来の製品の新バージョンを出荷し続けるという事実を強調している。今後,同社が販売するほとんどすべてのアプリケーションは,Webサービスが提供する幅広い機能によって強化されるだろう。

 そして,既存のもの,今後登場するものも含めた同社のすべてのWebサービス(HotmailやMessenger,その他多数)には,公開APIによって劇的な変化がもたらされるだろう。サードパーティの開発者が,公開APIにアクセスして,Microsoftの製品やサービスを拡張したり,増強したりすることができるからだ。そのとおり。LIVEは,WindowsやOfficeと全く同じようなプラットフォームに進化しようとしているのだ。唯一の問題は,それがWindowsやOfficeと同じくらい成功するかどうか,ということだ。

 筆者は,成功するだろうと考えている。Microsoftは過去にインターネットやWebに出遅れ,今回,流行のWebアプリケーションについても他社に先を越されたが,同社の最大の強みは,人気のあるプラットフォームを作り出して,サポートする能力があることだ。今年の後半に,Microsoftが最初の製品であるWindows Live Coreを出荷するときから,移行が本格的に始まる。だが,現時点ではっきりしていることが一つある。Microsoftのカスタマが現在享受している機能の組み合わせは,この先,劇的に手直しされるだろう,ということだ。そして,それは刺激的な体験になるだろう。