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西川滋氏
リクルート FIT2部 自動車グループ ゼネラルマネジャー

写真●リクルート 西川滋氏
写真●リクルート 西川滋氏

 ITアーキテクトは,短納期,低コストという制約の中で最適なシステムを考えなければなりません。重要なのは,システムの「幹」と「枝葉」を見極めること。納期やコストを順守するには,ITアーキテクトが全体最適の視点から無駄な機能を削ぎ落とす必要があります。2005年7月に創刊したフリーペーパー「CarSmile」の編集・制作システムを構築した時もそうでした。

 約600人が利用する同システムは,広告主である自動車販売店に取材して収集した写真や原稿などのデータを格納し,誌面として出力するものです。開発期間は約6カ月。予算も限られている。その制約の中でどんなシステム構成にするか,悩みました。

 その結果,長い歴史を持つ雑誌「CarSensor」の編集・制作システムを流用する判断を下しました。問題は,成熟したCarSensorのシステムが逆にビジネスの制約条件になること。例えばCarSensorでは販売店ごとのページ単位で情報を扱いますが,CarSmileではコマ(1台)単位で情報を扱う。だからと言って,CarSmileの編集方針を変更し,ページ単位でレイアウトしては本末転倒です。結局,サーバーやミドルウエアなどのプラットフォーム部分を共通のものとし,機能部分は大きく見直すことにしました。

 ところが,実装する機能について利用部門からは「チェック機能を増やしてほしい」「詳細な運用画面がほしい」など様々な要求が飛び出します。そのため,ビジネスを進める上で,どの機能が「幹」で,どの機能が「枝葉」かを議論することになりました。


システムは「磨く」もの

 ビジネスは日々状況が変わるもの。創刊したばかりのCarSmileにおいては,読者層や広告主の状況によって内容が大きく変わる可能性があります。そんな中で仮説であれこれ議論しても無駄な機能がどんどん増えるだけです。「幹」である必要最低限の機能だけを残し,「枝葉」である機能は必要に応じて運用フェーズで追加する。それが現実的な考え方です。大事なのは,それを利用側にきちんと説明して納得してもらうことです。

 では,「幹」と「枝葉」はどのように見極めるのか。それは,利用者との対話から見出していきます。普段から利用者とコミュニケーションを取っていれば,システム担当者でも感覚的に幹の部分が見えてきます。私がいつも心がけているのは,実際にシステムを使っている部署を訪れ,積極的に話かけることです。システムの使い勝手やあると便利な機能など,利用者と対話しているうちに明らかになっていきます。それを繰り返していると,自然にシステムの「幹」と「枝葉」が分かるようになります。(談)