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総務省は8月7日,2.5GHz帯無線ブロードバンドの免許申請(2.5GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設計画の認定申請)の受け付け期間を9月10日から10月12日にすると発表した(発表資料)。申請後の事業者選定のスケジュールや審査について,担当者である総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の西潟暢央課長補佐(写真)に聞いた。(聞き手は大谷 晃司=日経コミュニケーション

9月10日から10月12日という申請期間が決まった。当初予定よりも遅れたようだが。

写真●総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の西潟暢央課長補佐
写真●総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の西潟暢央課長補佐

 遅れたというより,(3G事業者の参入規制などを設けた)今回の免許方針を決定した以上(発表資料),関係者は取締役会などを開催して意志決定する時間が必要となる。そうした時間がないと事業をするためのフォーメーションが組めないだろう。これらを勘案すると9月末に免許申請を締め切るのはちょっと早いと感じた。免許申請の後は,電波監理審議会(関連資料)のスケジュールや,複数の申請があった場合の比較審査などに,どれくらいの稼働が必要かを考えて,期間を決定した。

複数の申請があった場合の審査期間は。

 申請数にもよるが,最低一カ月はかかる。11月に開催する電波監理審議会に間に合うかどうか,ぎりぎりのタイミングだ。審査の結果を公表できるのは,こうしたスケジュールを考慮すると,年内目途で早くて11月もしくは12月の両方を見ながら進めていく。

移動体用の全国バンドが割り当てられるのは2社。2社ともモバイルWiMAXになる可能性はあるのか。

 可能性については否定しない。そもそも審査段階で技術方式自体が影響を与えることはない。今回,4方式(IEEE 802.16e=モバイルWiMAX=,IEEE 802.20=MBTDD 625k-MC mode=,IEEE 802.20=MBTDD Wideband=,次世代PHS)を選んだ意味がなくなってしまう。

 2.5GHz帯無線ブロードバンド(BWA)は,まずは市場を開拓することが重要。一般論として,(同じ技術方式を使う)事業者の数が多いにこしたことはないが,その前にBWAの市場をどう作っていくのかを開設計画の申請をする企業に聞きたい。

下馬評では次世代PHSが2波の一方で採用されると言われている。産業振興的な視点はないのか。

 産業振興的な面は否定するつもりはないが,それを前面に出すつもりもない。産業振興として技術方式を決めるということはない。次世代PHSは国産技術ではあるが,ITU(international telecommunication union)によって標準化された技術方式でもある。モバイルWiMAXなど他の方式とは真っ向勝負してもらうことになる。

2005年11月に携帯電話の電波を割り当てた(関連記事)。このときとの違いは。

 基本は変わらない。認定の要件について「より」を付けるところ,例えば「より」早く,「より」確実にといったところをどれだけ客観的に判断するか,現在シミュレーションをしながら研究中だ。基地局設置のペースやネットワークの展開計画はチェック・ポイントの一つだ。

 2005年11月に免許を割り当てたアイピーモバイルは,今のところサービスを開始していない。2007年11月10日までにサービスを開始しなかった場合は,周波数を返却してもらうことになるだろう。

 今回のBWAの審査は,必ずしもアイピーモバイルを意識したわけではないが,資金調達の確実性は今回の審査でチェックしていく。アイピーモバイルはどこかでボタンを掛け違えて,それをいまだに引きずっている。行政が事前に見抜ける話ではなかった。

 (2.5GHz帯のBWAは)既存の第3世代携帯電話事業者(3G事業者)が絡んできそうなので,資金面では確実性が期待できる面がある。ただし,「本気でやるのか」というところをどう判断するのか(編集部注:BWAは携帯電話による無線データ通信と競合する。“共食い”を避けるため周波数を他社に使わせないために立候補することもありうる。実際,韓国ではWiBro用周波数を取得したSKテレコムが,同社の既存3Gサービスを優先しWiBroサービスをあまり進めていない例がある)。

 この点は新しい課題だ。2005年のイー・モバイルやBBモバイルの時は,当初から本気で周波数を取りに来ていた。3G事業者が関与したときに,それをどう評価するかを慎重に扱わなければならない。特に筆頭,リーディングとなる立場で3G事業者が絡んだときにどう審査を進めていくか。似たようなことを繰り返さないためにも,ここが肝となる。

仮の話になるが,アイピーモバイルが開設計画の要件満たさずに周波数を返却することになった場合,その周波数帯はどうするのか。

 2GHz帯をBWAの補欠にするんじゃないかという話があるが,そう簡単な話ではない。そもそも(アイピーモバイルが取得した2GHz帯の)周波数幅は15MHzしかない。既存のBWAの技術には2GHz帯を使うためのプロファイルが入っていない。既存のBWAの技術のプロファイルに2GHz帯が入ったとしても,今のTD-CDMAが用意しているガードバンドの設定でいいのか,などの懸念もある。

 さらに言えば,2GHz帯の技術検討をした当時と今とでは電波の利用状況が違う。仮に周波数が空き地になったとしても,15MHz幅で何をしたらいいのか,腰を落ち着けて考えなければならない。

 そもそも次世代PHSは2GHz帯の技術方式の検討時には候補に入っていたが,実際の開設指針には入っていない。開設指針に入っている技術方式は,アイピーモバイルが採用するとしているTD-CDMA(time division - code division multiple access)とTD-SCDMA(time division - synchronous code division multiple access)だけだ。

例えば3GとBWAを組み合わせたようなサービスついてはどう考えているのか。

 ケースバイケース。(3G携帯とBWAの)デュアル・モードで利用できるサービス自体はおかしいとは思わない。3G事業者と2.5GHz帯のBWAの事業者を比べた場合,より支配的,ドミナントなのは3G事業者。ドミナントの3G事業者がどういった料金でBWAの事業者に回線を貸し出すのか,といった方が競争政策的には課題だ。こうしたサービスのように,BWAにはいろいろなオプションがあってしかるべきだと思う。

比較審査は順位を付けるのか。

 単純な順位付けではないと思うが,最終的には1位,2位と順位を付ける必要があるだろう。移動体用の周波数帯(関連記事)は2波あり,一方はN-STARとの関係で2014年12月31日までの間は運用制限がある。審査の結果,一番優秀な候補者に当初から運用制限のない(2595M~2625MHzの)30MHz幅を割り当てることになるだろう。