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NHKの次期経営計画に関する考え方
表●NHKの次期経営計画に関する考え方
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 「災害やアジアに関する報道番組を積極的に放送する」「視聴者の意向やニーズを踏まえたうえで衛星放送サービスの内容を見直す」──。NHKは2007年8月10日に,2008年度から2012年度までの5年を対象にした中期経営計画の基本理念である「NHK次期経営計画(2008-2012)の考え方」を公表した()。NHKは2007年8月31日まで,この考え方に対する意見を視聴者から募集する。視聴者の意見は,必要に応じて次期経営計画に反映する方針だ。

 今回の「考え方」で注目すべき点は,NHKの次期経営計画における投資額とコスト削減額が具体的な数値で示されたことだ。NHKは2008年度からの5年間で総額1750億円の投資を行う方針を明らかにした。また放送部門や営業部門などの業務改革によって,同期間に総額900億円の経費削減を目指す。


投資は番組強化などの財源に

 投資予定額のうち750億円は,放送サービスを強化するための費用に充てる。NHKは次期経営計画の対象期間である5年間に報道番組やドキュメンタリー番組などを強化する方針だ。例えば地方と都市で広がる経済格差といった地域が抱える問題に関する番組や,悩みを抱える若者に生きるヒントを与えるための番組などを放送したいとしている。また番組のインターネット配信サービスである「アーカイブス・オンデマンドサービス」を2008年に開始する予定だ。これらの番組制作や新サービスの提供に向けて,750億円を投入する。また全国の放送エリアで地上デジタル放送を提供するために,2008年度から2010年度にかけて中継局の建設と共聴設備のデジタル化を行う必要がある。この3年間で約1000億円の費用を使い,約1700局の中継局を敷設し,約4250の共聴設備をデジタル化する予定だ。

 一方,900億円の経費削減額は,放送部門や営業部門の業務効率化によって捻出(ねんしゅつ)する。例えば受信料の契約・収納業務の効率化によって,5年間で総額200億円の経費を削減する。具体的には2008年10月に収納員が視聴世帯に出向く「訪問集金」を廃止し,経費の削減を図る。今後は外部の収納代行業者に業務を委託するなどして,より効率的に契約・収納業務を行うことを目指す。NHKは外部企業の活用などによる経費削減の効果を測るため,計画期間中に契約・収納業務の外部委託を試験的に行う方針だ。このような対策によって放送部門で300億円,営業部門で200億円,ほかの部門も含めた全社的な取り組みで400億円の経費を削減する。また受信料の未納者に対する支払い督促を強化し,現在71%にとどまっている支払い比率を引き上げる考えだ。受信料を支払っていないにもかかわらず番組を視聴している人を減らして,契約者が抱いている受信料制度に対する不満を解消することを目指す。


利益還元で視聴者に受信料制度への理解求める

 なおNHKは今回の「考え方」において,受信料収入の増加などによって5年間の通算で収支差金(黒字)を計上した場合,その金額を最大限視聴者に「還元」する考え方を示した。還元の仕方としては,一律的な受信料の引き下げや新たな割引制度の導入などを考えているようだ。今後,受信料収入の見通しや契約・収納業務の効率化などによる経費削減効果などを基に,どの程度の金額を視聴者に還元できるかを判断する。