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http://www.hairceda.jp/

 1年半ほどまえ、髪がごっそり抜けたことがありました。 いままで、生きてきて、そんな経験はないため、どうしていいかわからない。 まわりを見渡しても、誰に相談していいかもさっぱりわかりませんでした。 とりあえず、病院に行きました。皮膚科にいきました。 そして、お医者さんに言われました。 「たいしたことないですね。病気じゃないですから!もっと『はっきり』はげてきたら、また、来てください…」 看護婦さんと目があいました、彼女はとてもあいまいな笑いを浮かべながら うなづきました…。

 ここで、日本の医療とは何だ?医者とは何だ?などというつもりは、まったくありません。 自分と同じように、現在こんな髪の悩みをかかえている方、これから髪の悩みをかかえるであろう方に、 このWebサイトは「とてもやさしい」。 たいへんな、配慮がなされていると思いました。 それが今回、ご紹介する、アデランスの「ヘアシーダ 直電LIVE ディランに訊け!」です。

 このWebサイト、アクセスするとまず「オレに電話してくれ」といわれます。 経験したことのある方はわかると思いますが、 フリーコールであれ、病院ではない「なにかを解決してくれそうな」「なにものかの団体」に 「電話する」というのは、実は、かなり勇気がいるものです。 が、ここでまずは第1関門クリア。 まずは、この「フリーコール」に電話することは、 「ディラン」さんに電話するだけの「ゲーム」なんだな、ということで自分を納得させます。

フリーコールへの通話促進
フリーコールへの通話促進
ディランさんが、弾丸トークで「なごませくれる」ので、とりあえず、電話をかけます。
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 通話がつながるまでほぼ自分のコールと同じ回数だけWebサイトの画面で電話のコールがなります。さらに、通話がつながると同時にWebサイトの画面のディランさんが電話をとってくれます。そして、引き続き「オレになんでも聞いてくれ」と、言ってくれます。

Webサイトと音声通話の連動
Webサイトと音声通話の連動
ふつうに利用される方はまったく気付かないもしれませんが、Webサイトと音声がさらっと、連動していますエンジニアリング的には実はすごいコト。
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コールセンターに電話する?しない?
コールセンターに電話する?しない?
このままいっきょに、コールセンターにかけるか、かけぬかがこのWebサイトの「コンバージョン」。
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 こちらが黙っていると「キーワード受付中」という画面を表示してくれ、電話の音声も、次のアクションを誘導してくれます。「なんでも聞いて」の「なんでも」を選択したキーワード「髪形」と、音声で話すと、ディランさんがそのキーワード「髪型」についていろいろとトークしてくれます。

 おわかりかと思いますが、Webサイトと音声通話が「完全に同期」しているため電話をかけた本人は、ディランさんと「ワントゥワン」で通話しているように感じられます。なので、Webサイト上の画面やモーションが、バーチャルなものであるとは分かっていてもかなり、リアリティのある体験として残ります。ここで、親近感、リアリティを感じることで第2関門クリア。

 突然、電話を切ると、夕焼けを背景に悲しげな顔をして「おいおいちょっと待ってくれよ…」なんていう、ディランさんなんて、もうバーチャルでつくりものとは思えない人物になっている…というところがこのWebサイトの次のアクションへのフックになっており、最後のオチはアデランスのコールセンターにつながるワンプッシュを押すか押さぬかという選択になります。ここで第3関門クリア。

 さすがに男性向けの増毛なので私はコールしませんでしたが…

 このWebサイトが「配慮」が行き届いていて「やさしい」理由は、「コールセンターに電話をかけることに伴う漠然とした不安」を熟知したうえで、そのユーザの不安をWebサイトで排除しようしたこと。その上で、本当のコールセンターに、ワンプッシュでつなぐというコンバージョンの機能を、はっきり持たせていることにあります。もちろん、このバーチャルトークをなりたたせるためのエンジニアリングたるや、実はものすごいコトなのですがワンコールのために、フリーコールの番号を連呼するだけでなくいったんWebサイトにランディングさせ、安心感や親近感を醸成させる、という着眼のすばらしさにある、と言えるかと思います。


●今日のまとめ
「やさしさ」のプロセスのデザイン

執筆: 株式会社キノトロープ 坂井とわ子
http://www.kinotrope.co.jp/
著書: 「Webデザインワークフロー」ウェブクリエーターズバイブルシリーズ(ソフトバンククリエイティブ刊)
http://www.kinotrope.co.jp/pressroom/book/index.shtml