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 現在無線LANには2.4G~2.4835 GHz,5.15G~5.25GHz(W52),5.25 G~5.35GHz(W53),5.457G~5.725 GHz(W56)の周波数が割り当てられており,合計で550MHzの帯域を持っている(図E)。特にW56は2007年1月に追加されたばかりの新しい周波数帯である。

図E●802.11nで利用可能な周波数帯域
図E●802.11nで利用可能な周波数帯域
2007年1月にW56(5.457G~5.725GHz)が追加されたことで,20MHz幅のオペレーションの場合で22チャネル,40MHz幅のオペレーションの場合で10組のチャネルを利用できるようになった。
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 結果として,20MHz幅で運用した場合には22チャネル,40MHz幅で運用した場合には10の組み合わせで同時に利用できる。40MHz幅の場合に,20MHz幅の半分の11にならないのは,2.4GHz帯とW56の20MHzチャネルが奇数個しか選択できないからだ。図Eでは11チャネルと140チャネルを20MHzで描いたが,運用上は,どの位置に20MHzのチャネルを設定してもいい。

レーダーとの共存のために利用制限

 5GHz帯では利用に当たって制限がある。同じ周波数帯を通信衛星や地球探査衛星,各種レーダーと共用しているためだ。使用場所が限られていたり,他の無線システムとの干渉を防ぐ技術の搭載義務があったりする。

 まず,W52とW53は屋内での利用に限定されており,屋外で利用することはできない。これらの周波数帯は衛星の電波と共用しているからである。W56にはこうした制限はない。

 さらに,W53とW56はレーダーと共用するために,DFS(dynamic frequency selection)と呼ぶ機構の実装が求められる。これは,無線LANのアクセスポイント(AP)がレーダーの電波を感知すると,他の空いているチャネルを探査し,1分以内にそこに移動して通信を再開するというものだ。DFSで別のチャネルに移動した後は,30分間元のチャネルには戻れない。このほか,状況に応じて機器全体の送信電力を下げるTPC(transmitter power control)の実装も義務付けられている。これらの機構を実装するために,W53とW56で利用する無線LANシステムは,端末同士が直接通信するアドホック・モードでの利用が禁止されており,APが通信を制御するインフラストラクチャー・モードでしか運用できない。