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NTTグループのNGN(次世代ネットワーク)フィールド・トライアルでは,これまでインターネット上で利用されてきたWebアプリケーションの実証実験も行われている。こうした既存のWebアプリケーションは,NGN上でそのまま利用できるのだろうか。フィールド・トライアルの過程で注意点が見えてきた。

 NGNフィールド・トライアルに参加する富士通は,Webビデオ会議システム「JoinMeeting」をNGN上で実証実験している(写真1)。JoinMeetingは,最大500人のユーザーが参加でき,画面上で最大18人までが映像と音声を使って発言できる。インターネット上でJoinMeetingを利用すると,会議参加者の映像が乱れることがある。そこでNGNの帯域保証を活用し,音声と映像を安定的に送信できるかどうかを検証しているのだ。

写真1●富士通の多地点マルチWeb会議システム「JoinMeeting」
写真1●富士通の多地点マルチWeb会議システム「JoinMeeting」
NGNのQoS機能の活用により,安定した高品質なWeb会議を実現する(撮影:的野 弘路)。

 実証実験を進める中で,一般のインターネット・アプリケーションをNGN環境で使えるようにする際のポイントが見えてきた。一つはSIPの実装。もう一つは帯域の指定である。

SIPアダプタを独自に開発

 一般のWebアクセスの場合,WebブラウザにアクセスしたいWebサーバーのURLを入力すると,DNS(domain name system)サーバーに問い合わせてIPアドレスを取得。そのIPアドレスあてにパケットを送って目的のWebサーバーと通信する。

 これがNGNになると,通信の動作は全く異なる。電話をかけるのと同じように,最初に相手のNGN番号(電話番号と同じ体系)をNGN網に伝えて,相手を呼び出すところから始まる。この呼び出し作業は,NGN網のSIP(session initiation protocol)サーバーに依頼する。NGN番号のほか,WebサーバーのIPアドレス,ポート番号,そして利用する帯域を指定する。NGN番号はもちろん,IPアドレスもあらかじめ調べておく必要がある。動的に相手先アドレスを見つける仕組みがないためだ。ここがインターネットとの大きな違いとなる(図1)。

図1●インターネットとNGNのWebアクセスの違い
図1●インターネットとNGNのWebアクセスの違い

 また,NGNでは通信の帯域や品質を設定できる。そのため,映像や音声,データなど,通信するメディアによって別々にセッションを張り,帯域や品質,プロトコルといったパラメータを設定する(図2)。

図2●NGNではデータの種類ごとにセッションを張って帯域や品質などを設定
図2●NGNではデータの種類ごとにセッションを張って帯域や品質などを設定

 富士通はこういった違いに対応するため,今回のフィールド・トライアルにあたり「SIPアダプタ」を独自に開発し,クライアント側とサーバー側に設置した。「アプリケーションを作り変える手間を最小限にしようと考えた」(富士通の志賀浩一ネットワークサービス事業本部FENICSシステム統括部ASサービス部プロジェクト課長)からだ。

 JoinMeetingの実験では,音声と映像を扱うRTP用の相手呼び出しと,データ通信向けのTCP用の相手呼び出しを別々にSIPサーバーに依頼し,それぞれの呼び出し時に帯域を指定したという。仮に,音声と映像の帯域を別々に指定したいなら,音声呼び出しと映像呼び出しを別途実行することになるという。