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 夏休みの一日に,思うところあって携帯電話の機種変更を敢行しました。そんなに酷使したわけでもない前機種が,1年半にしてマルチファンクションキーにひび割れが生じて使いにくくなったことや,初期のワンセグ機は重くて大きいことから少し軽くて薄いワンセグ機にしたくなったことが理由です。新しい端末に狙いを定めて,エイヤっとショップで機種変更すればいいのですが,今回はその前後で細々とした手間がかかりました。

 その手間とは,モバイルFeliCaチップを使った「おサイフケータイ」の各種サービスを移行するための処理です。携帯電話に現金に相当する“バリュー”がチャージされていたり,ポイントが貯まっていたりすると,これはないがしろにはできません。アドレス帳はショップでコピーしてくれるし,撮った写真などは必要があればメモリーカードや赤外線通信で移行すればいいのですが,おサイフケータイの処理を考えると機種変更が憂うつなものに感じられたのです。

 なぜ,憂うつとまで言うか。それは,おサイフケータイの一つ一つのサービスで,機種変更に伴う移行のための作業が異なるからです。複数のサービスで同じ手順を繰り返すのだとしても面倒に感じるのに,サービスごとに異なる作業を要求される。それも,やはりお金やポイントがからむので,認証用のパスワードがどうしたとか言われて,パスワードを思い出すのに一苦労したりといった負担も加わります。

 たかだか3つ,4つのサービスを移すのに,途中で放り出したくなっていったん就寝したこともあり,翌日にまで作業は及びました。あー面倒。

 そこで,自分が作業したものも含めて,代表的なおサイフケータイのサービスで,機種変更時の手続きがどうなっているかを各サービスのWebサイトで調べてみました。

表●おサイフケータイの代表的サービスで「機種変更」するには
サービス 提供会社 おサイフケータイ移行時の手順
Edy ビットワレット 新端末でアプリをダウンロードし初期設定すれば使える。ただし,クレジットカードによるチャージなどをする場合は,サービス設定の登録を行う必要がある。バリューの移行は,センターでバリューを預かるサービスを提供(手数料105円)。旧端末でバリューを預け,新端末で受け取る作業が発生する
モバイルSuica JR東日本 旧端末で,アプリ上から「機種変更」の手続きを行い,発行された「引継番号」をメモする。機種変更後,新端末でダウンロードおよび初期設定したアプリ上で,引継番号を入力し機種変更手続きを行う
nanacoモバイル セブン&アイ・ホールディングス
QUICPay JCB 登録のクレジットカード会社に連絡し,新規IDのパスワードを発行してもらう。次に旧端末からQUICPayアプリとQUICPay設定アプリを削除。機種変更後,新端末にアプリをダウンロードおよび初期設定をして,新規IDとパスワードにより登録

 ざっと調べたところで,こんな感じです。このほかにも,iD(NTTドコモ)のように,Webサイトには「利用しているiDが対応するクレジットカード会社に連絡して,設定方法を確認」といった説明しかないところもありました。機種変更に及び腰になることが分かっていただけますでしょうか。それぞれのサービスのバックボーンにある仕組みや,端末のFeliCaチップに持たせる情報の種類の違いなどによって,ユーザーが成すべきことが変わってくるのです。

 人によってこうした作業を面倒だと思うかどうかは違うと思いますが,できれば間違う心配のある作業は避けたいところです。そう思って調べてみたところ,ありました! 「iCお引っこしサービス」というサービスが,NTTドコモから提供されていたのです。モバイルFeliCaチップ(ICカード)内のデータを別の端末に移し替えてくれるサービスです。対応するアプリはそれぞれダウンロードする必要がありますが,それだけでおサイフケータイの移行作業が済むのです。これなら,面倒な作業も少なく,間違いも起こりそうにありません。

 とはいえ,つい最近NTTドコモの携帯電話で機種変更した知人に尋ねたところ,こうしたサービスの存在を知らずに,私と同じようにサービスごとの移行作業をしていました。機種変更したショップがiCお引っこしサービスを提供していなかったのかもしれませんが,ユーザーが知らないのではせっかくのサービスが宝の持ち腐れです。ドコモ2.0の宣伝費用の数百分の1でもかけてくれれば,ユーザーの利便性が向上するサービスの認知を高められるのではないでしょうか。

 今回,私が機種変更したのは,NTTドコモではない端末だったので,もちろんそのサービスの恩恵に与れませんでした。それも残念です。今後,おサイフケータイ利用者の機種変更は確実に増えるでしょう。おサイフケータイは生活の利便性をうたい文句にしているサービスであるだけに,「機種変更なんてたまにするだけ」と考えるのではなく,各社が移行の手間を省くサービスを提供するとともにユーザーに周知してくれることを切に願った経験でした。