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広大な3次元空間を闊歩して楽しむ、米国発の仮想世界サービス「セカンドライフ」。一般消費者向けの単なる娯楽ではなく、販売促進やネット通販、ネットバンキング、人材採用などビジネスにも有用な存在だとして、積極的に利用する企業が増えている。

 「現在のセカンドライフは、GoogleやYouTubeが爆発的に拡大する前の状況とよく似ている。登録会員数も激増し始めた」と、国内初のセカンドライフ研究会を、大手広告会社の電通と共に立ち上げた、クリエータ向け教育機関であるデジタルハリウッド大学・大学院の杉山知之学長は話す。

 米リンデン・ラボが運営するセカンドライフは世界最大の仮想世界。2007年4月現在、全世界で525万以上の会員を抱える。クライアント・ソフトをパソコンにインストールして登録すれば、誰でも無料で利用可能だ。

 会員は毎月数万単位で増加中。現在は英語版だけだが、日本語表示は可能で、チャットも日本語でできる。約7万5000人程度の日本人が登録しているとみられる。07年前半には正式な日本語版が登場予定である。

 企業がセカンドライフに着目するのは、その規模だけでなく利用者自体が魅力的だからだ。IT関連の先端技術に造詣が深く、流行に敏感な“アーリーアダプタ層”が多い。

 ここで吸い上げた顧客の意見や動向を製品開発や販売戦略に生かせると判断した。すでに昨年10月には日産自動車、今年3月にはマツダが、コンセプトカーの3Dモデルを販売促進目的でプレゼントするサービスを開始した()。

表●セカンドライフ(SL)に参加した主な日本企業
表●セカンドライフ(SL)に参加した主な日本企業
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 人材発掘に格好の場所ととらえる企業も出てきた。国内最大手のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)事業者であるミクシィもその1社だ。3月末までセカンドライフ内に特設ビルを設け、求人活動を実施した。大手システム・インテグレータの電通国際情報サービス(ISID)も3月末に、正式な会社説明会をセカンドライフ内で実施。当初予定の2倍の約80人が参加した。

 セカンドライフには、内部で流通する仮想通貨「リンデンドル」を、本物の「米ドル」に換金できるという特徴もある。この点に着目した複数の金融機関が、ネットバンクの活用目的で、セカンドライフへの参入の機会を探っているという。

 ISIDの渡邊信彦 執行役員金融ソリューション企画部長は「人材獲得だけでなく、セカンドライフでの活動をうまく進めるためのノウハウを蓄積することが、会社説明会を開いた目的だ」と話す。「近い将来、セカンドライフと既存の企業情報システムをどうやって連携させるかが重要になる。自らが試すことで、こういった時代に備える」(同氏)。ISIDは、既存システムの連携にとどまらず、セカンドライフで成功するためのコンサルティング業務も展開する方針だ。

 大手企業が次々と参入する中で、セカンドライフは日本で無視できない存在になりつつある。