■ ポイント1──「フルHD ALISパネル採用」
1つめのポイントとして挙がったものは、「フルHDパネル」の採用だ。Woooシリーズでは、1920×1080ドットのフルHDパネルを採用したことはもちろん、縦方向を交互に表示することで1080i表示を行う独自のALIS方式パネルによって、画質面でも差別化を図っている。
「ALIS方式の最大の特徴は画面の明るさにあります。一般的にフルHDパネルは画面が暗くなるという欠点があります。ALISパネルではこの点に強みがあり、パネル単体では1100カンデラとフルHDでも明るい画面を実現しています。コントラスト比は10000:1と他社に近いスペックですが、明るい方に振った数値であることが違いになって現れています」(戸川氏)
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▲日立製作所 コンシューマ事業グループ 事業企画本部 コミュニケーション・法務部 担当部長 戸川健一氏(右)とAVライターの折原氏(左) [画像のクリックで拡大表示] |
最新の薄型大画面テレビでは、フルHDというスペックはもはや標準になりつつある。そこで違いとなってくるポイントが、プラズマパネル全体の特徴である動きの激しい映像に強い動画解像度の高さと、フルHD解像度を両立している点だ。
「プラズマは早い動きへの対応に優れており、APDC(次世代PDP開発センター)の測定方式で動画解像度900本以上を出すことができます。これは、今あるフラットディスプレイパネルのなかで最も解像度が高い方式です」(戸川氏)
プラズマテレビでフルHD化を実現したことは、単純に解像度が向上したというだけにとどまらない。この情報量を生かして、テレビのもう一つの重要な要素である色再現にも新たな取り組みが行われている。
「従来のモデルでは、パネル解像度の不足をカバーするために『記憶色』を出せる色付けをしてきました。最新モデルでは、元のナチュラルな色を再現する方向へと意識的に画作りを変えています」(戸川氏)
これは取材に先立って、筆者も自分の目で確認していたポイントだ。Woooシリーズの従来モデルは、画面の色合いが派手で特徴的な絵作りが行われていた。P50-XR01では、メニューの「色再現」の設定で「あざやか」と「リアル」が選択でき、「リアル」を選ぶと自然な色調を再現するようになった。
また、50V型モデルでは、パネルの前面にあるフィルターにも「ファインブラックフィルター」と呼ばれる最新技術を投入している。
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▲ファインブラックフィルターの採用によって「しまりのある黒」を実現。左はファインブラックフィルターのないもの(発表会向けの特別仕様)で、右がファインブラックフィルターを採用したもの(2007年3月に行われたWoooシリーズ発表会より、以下同) [画像のクリックで拡大表示] |
「ファインブラックフィルターは上方向の光に特に効果のあるフィルタで、外から入ってくる光を反射させつつも、中からの光を多く出す特性があります。これによって明るいリビングに設置した際にもしまりのある黒を出すことができ、コントラストのある映像を表示できるようになります」(戸川氏)
ファインブラックフィルターを搭載するのは最上位モデルのみ。その理由をたずねると、「コストが高いのです」と返事が返ってきた。「フルHDを購入するこだわりを持った方には良い画質で見て欲しい」と戸川氏。そのWoooシリーズのこだわりを持った画質にも注目してみよう。
現在の薄型大画面テレビではフルHDパネルの採用が一般化している中で、動画解像度を両立していることがプラズマテレビの強みだ。WoooではフルHD化によって色再現にまで手が入れられ、特に50V型では画質向上のためにフィルターと画質全般の改善が進められた。従来から比較検討していた人も、一度店頭で画質をチェックしてみよう。 |