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埼玉縣信用金庫は、最大100枚をすき間なく積み重ねても読み取れる積層型無線ICタグを使い、社内便の仕分け作業の精度を向上させた。手作業だけでは避けられない誤配送を減らし、個人情報や機密情報の管理を徹底する。積層型ICタグの実用例はまだ珍しい。

 埼玉縣信金のメール仕分けセンターには、毎日約3000通の社内便が届き、約1時間半で配送先別に仕分けする。仕分けは手作業なので数カ月に1度、誤配送などで行方不明になり、発見するのに数日かかることもあった。今回、仕分け作業の前後でICタグを読み取ることで、精度を向上させた。

 配送用のカバンと社内便封筒のそれぞれにICタグを取り付けた。カバンのポケットに差し込むICタグ・カードは、配送元または送付先を識別するためのもの。センターで受け取るときに、カバンのIDと封筒のIDを読み、どのIDの封筒がどの拠点から届いたかを記録する。配送先に送る前にも、各封筒の行き先をチェックする(写真1、2)。

図●積層型ICタグを使った社内便仕分けの仕組み
図●積層型ICタグを使った社内便仕分けの仕組み

写真1●一括読み取りの様子90枚の封筒を入れたカゴを、コの字型のリーダーに挿し入れている
写真1●一括読み取りの様子90枚の封筒を入れたカゴを、コの字型のリーダーに挿し入れている

写真2●ICタグ・カードを張り付けた社内便用封筒をカゴに入れて読み取る
写真2●ICタグ・カードを張り付けた社内便用封筒をカゴに入れて読み取る
このようにすき間なく積み重ねた状態で一括読み取りできる

 封筒には2種類あり、それぞれ行き先のチェック方法が異なる。同じ拠点間を行き来する封筒の場合、センターで受け取って封筒のICタグを読めば、あて先が特定できる。センターからの配送時に、封筒のICタグを読み取って、仕分けミスをチェックする。もう1つの封筒は、行き先が毎回変わるもの。配送先は特定できないが、封筒のIDごとに送付元と配送先を記録しておき、行方不明時に探しやすくした。

 今回採用した積層型ICタグは、日本信号とオーストラリアのマゼラン・テクノロジが共同開発したもの。13.56MHz帯に対応したもので、リーダーが大型になり比較的高価だが、数十枚のICタグを密着させても読み取れるという特徴がある。埼玉縣信金は、毎日1時間半という短時間で仕分ける必要があり、数十枚を一括で読み取れる積層型を採用した。導入したICタグは2万枚、リーダーは3台である。

 リーダーの読み取り漏れをチェックするため、カバンに張り付ける送付状に封筒の数を記入する。配送元の拠点では、カバンに封筒を入れる際に人が数を数え、送付状に記入する。センターではその数とリーダーでの読み取り結果を比較する。センターからの配送時は、読み取った封筒の数を送付状に印刷してカバンに付ける。その数を配送先で人がチェックする。「読み落とすのは週に3~4件と少ない」(埼玉縣信金の佐藤博久常務理事)という。

 システムの稼働は07年7月。構築費用は本誌推定で2000万円前後。日本ユニシスが構築した。