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 情報系システムに悩んでいるITエンジニアは多い。代表的な声は,「構築はしたものの,あまり使ってもらえない」というものだ。

 情報系システムとは,「各部門における売り上げの推移を参照して現状を把握する」「ムダのない生産計画を立てるために商品の売れ筋データを分析する」といった,データを活用するシステムのこと。扱うデータの内容や目的の違いはあるが,多くの企業が構築している。典型的な情報系システムは,基幹系システムからデータを集めて一つの大きなデータベース(これを「データ・ウエアハウス(DWH)」と呼ぶ)を構築し,そのデータを専用のツールやWebブラウザなどで分析できるようにしたものだ。

ニーズの変化でシステムは陳腐化

 利用者にヒアリングして要求を引き出しているにもかかわらず,時間が経つと,(1)「画面や操作に戸惑う」,(2)「応答が返って来ない」,(3)「見たい情報がない」という不満の声が挙がってくる(図1)。これらの不満の背景には,ニーズの変化がある。

図1●情報系システムが使われない理由
図1●情報系システムが使われない理由
どれか一つにあてはまるだけで,時間をかけて構築した情報系システムが使われなくなる

 (1)画面や操作に戸惑うのは,利用者が拡大しているからだ。従来は一部の社員(例えばマーケティングや企画部門の担当者)だけが使っていたが,今ではより多くの社員も使うようになった,という企業は少なくない。利用者が増えれば情報リテラシーの差も大きくなり,「どう使えばよいか分からない」といった声が出やすくなる。

 (2)応答が返って来なくなる最大の理由は,情報系で扱うデータ量が増えたことにある。だがそれだけではなく,利用者のニーズが高度になり,以前より複雑な条件で検索することが増えていることも理由の一つだ。ニーズが高度に変化したと言えよう。

 (3)見たい情報がない,というのは,新たなニーズにすぐに応えられないために起きている問題である。「新商品が発売されたので,その商品の特性に合わせた分析を行いたい」といったニーズが出てくると,システムの改修が必要になるケースは多い。そうした改修に時間がかかってしまうと,こうした問題が発生する。

 長年,情報系システムの企画や構築を手がけているモスフードサービスの永井正彦氏(管理本部 情報システムグループ グループリーダー)は,「情報系システムは,仕様がはっきりしている基幹系とシステムの思想が大きく異なる。正解は一つではないし,その正解も時間とともに変化してしまう」と指摘する。

 稼働当初は利用者のニーズを満たしていても,ニーズの変化に付いていけなければ陳腐化してしまう。

ITエンジニアがあるべき姿を描く

 では,ニーズが目まぐるしく変化するものに対して,どのようなシステムを構築すればよいのか。ニーズが変化するというのは,言い方を変えれば利用者にも将来のニーズは分からないということだ。また,情報系は基幹系と異なり,極端に言えば使わなくても業務に支障はない。それだけに,使いたくなる工夫を施し,喜んで使ってもらえるようにしなければならない。

 これらをヒントにすれば,ITエンジニアが情報系のあるべき姿を描いてシステムを構築していくという姿勢が重要になる。利用者のニーズを先回りして考え,利用者から要求として上がってくる前にシステムに反映させておく。また,利用者から上がってきた新たなニーズにすぐに応えられるように,改修しやすい作り方にしておく。そうしておけば,利用者はきっと喜んで使ってくれるだろう。

 ただし,情報系のあるべき姿を描くのは簡単ではない。そこで「達人」のこだわりに注目した。ここで達人とは,情報系のあるべき姿を自ら描き,使われる情報系を構築したITエンジニアのことを指す。

 セブン-イレブン・ジャパンの情報系システムを手がけたセブン&アイ・ホールディングスの佐藤政行氏(執行役員 システム企画部 CVSシステム シニアオフィサー)は,そうした達人の一人だ。

 そのほか,タカラトミーの情報系を手がけたタカラインデックスeRラボの神谷謙五氏(データベースマーケティング部 マネージャー),サークルKサンクスの田代明氏(業務統括本部 システム本部 システム開発部 部長),モスフードサービスの永井正彦氏らは,各社の情報系のあるべき姿をしっかりと描いている達人だ。

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